リレーコラムについて

真ん中の隙間 

井指陽

とあるDトールコーヒーでは
「ブレンドください」と言うと、
「サイズは真ん中Mでよろしいですか」と聞いてきます。
器の小さい私は、たいていSをお願いするのですが…

レジに近い席で観察していると、
いろんな反応がみられて楽しいです。

「は、はい」と平社員(ふうの人)。
「S、で」と独身キャリアウーマン(ふうの人)。
返事をせかされているような、この状況下で
男性は言われるままMの人が多く(年齢に比例して増加)、
女性はMとS半々くらいです。

もし、店員さんの聞き方が単に
「サイズはMでよろしいですか」だったら、どうでしょうか。

「え〜、いきなり高いほうのサイズを勧めるなんて」と
気分を害する人もいるかもしれません。
そこに「真ん中」という言葉がついていることで
“中流な感じ”が好きな日本人の心にスッと入り込み、
さわやかに売上アップ!
うまいなあ、と思います。

そういえば、Tリーズコーヒーのレジ備え付けメニューも、
よく見ると面白いことになっています。
サイズはShortとTallとGrandeがあるのですが、
写真、価格表示ともにTallが明らかに大きくて、目立っているのです。

これを見ながら、店員さんからせかされ気味にオーダーをとられれば
「あ、Tallを」と言ってしまうのも無理はないはず。で、その後
お釣りなんかを待ちながらふとメニューを見ると、
「Short 、あるじゃん・・・」
ということになったりするんです。

でも、決して騙してるのではなく
気持ちを読んで、やさしく誘導してあげているだけなんだと思います。
真ん中って、もしかして
心の隙間なんでしょうか。

NO
年月日
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