リレーコラムについて

妖精を解放する。というしごと

前原佳世子

屋久島に「妖精を解放する」という仕事をしている人がいるそうです。
目に見えない妖精がたくさん住んでいて、でも時々、石や木に縛り付けられて
飛ぶことができなくなっている妖精がいるそうで、
それを、そーーっと解き放してあげるんだそうです(どうやるのかは知りませんが)。
まったくお金にはならないと思いますけど、それを自分の職業だと言えるって
なんだか、いいですよね。

私自身は約10年間の制作活動にピリオドを打って、
会社的には行き掛かり上(部署が変わって)、
コンサルタントという名刺を持つようになりました。
働く人たちの自立化とか、新しい働き方の提案とか、そんな仕事です。
でも、このコンサルタント(なんか怪しい)っていう名前、すごく違和感があったんです。
それで、屋久島の人のお話を聞いたとき、
「あ、わたしのしごとは妖精の解放だ!」って
自分のしごとを名付けました(もっと怪しい!)。
自分が出会う人たちも(仕事上、とにかく毎日誰かに会うんです)
時々、何かに捕らわれて窮屈そうにしているときがあって、
そういう人や組織に対してコンサルタント的に理論を押しつけるなんて、ぜったいダメ。
人を頼らず、自分自身で自分を見つめて、自分を表現し始めることが大切で、
そのお手伝いを、そーーっとするのがいいんです。
具体的には例えば、自分自身の大切にしたいこと、やりたいこと、
気持ちのいいこと、っていうのをゆっくりと時間をかけて考えてもらって、
それを名刺大の紙に書いてもらったりします。
(会社の肩書きにとらわれず、自分の本当の職業名を自分で決めてもらって、
本当の名刺をつくるんです)。
もやもやもやもやしていたもの、見えなかったもの、
今まで表現できなかったことを、きっぱりと言葉にできると
すごく気持ちがいいですよね。
いい広告に出会うと、「あーーー、そうなんだよね!」って共鳴するように・・・。
いいコピーがかけると、「そうそう、これなんだよね!」ってすっきりするように・・・。
言葉になると、初めてそれが「生まれる」かんじ。
コピーライターだけじゃなく、人ってすごく表現欲求があるんだなぁ・・・って、つくづく思います。
だって、すごくすごく気持ちのいいことですもんね。

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