自然を手本に。
大学の講義を受けていると、「風化」や「根回し」といった言葉に出会います。
風化といえば、「記憶が風化する」のように、次第に忘れ去られること。根回しといえば、物事を円滑に進めるために事前にコンセンサスをとっておく、社会人にはおなじみの言葉です。ところが、土壌の授業でいう「風化」は、岩が雨風などによって少しずつ砕け、もとの形を失っていく現象そのもの。そして植栽の授業で教わる「根回し」は、木を移植する際、負担がかからないようにあらかじめ根に準備をしておく技術のことでした。
ふだん由来も意識せずに使っている言葉には、こうした植物や自然を語源とするものがたくさんあります。自然の現象を観察し、そこから言葉を生み出していた昔の人々は、いまよりもずっと生活と自然が近かったのでしょう。同時に、自然のしくみはさまざまな物事のベースなのだと気づかされます。
会社員時代、アイデアなどに行き詰まったとき、私はよくライブラリーで自然関連の本や雑誌をパラパラとめくっていました。
たとえば、植物が花や実を目立たせ、虫や鳥を呼んで受粉や種子の散布を手伝ってもらう生存戦略を、生態学では「ディスプレイ効果」と呼ぶそうです。まるで、プランナーのような発想ですよね。
自然の中には、あらゆる仕組みのお手本が隠れています。だからこそ私は、自然を最高のネタ帳にして、あれこれと思いを巡らせるのが楽しくてたまらないのです。
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