「肩書きをご確認ください」に迷う。
「掲載する肩書きをご確認ください」というご連絡をいただくことが、時々あります。クリエイティブディレクターと入れてみたりもするのですが、結局いつも「コピーライター」とだけお伝えすることが多い私です。とはいえ、コピーが表に出ない仕事もあるしなあ…と、少し迷うこともあります。そんな私が、コピーライターという言葉の横に、いま手書きで書き添えてみたい肩書きがあります。それは「考える係」や「応援係」です。
2023年から、酒田市内で開催される地域芸術祭「庄内 風と土の美術館」の運営に携わっています。著名なキュレーターが主導するのではなく、東京や山形県内の芸術大学とのご縁を大切にしながら、地元の人たちの手でつくり上げている芸術祭で、私はふだん東京からお手伝いをしています。
3回目となる今年は、地域のアウトドアイベントの一角をお借りして、4組の展示を行いました。テーマは、2024年に豪雨災害にあった酒田市の中山間地域、八幡地域大沢地区。アーティスト2名、農学部の大学生、そして被災から復興を体験している住人が、それぞれの視点でこの地域を伝えました。
住人たちが展示したのは、リアルな体験の記録と、覗き込んでやっとわかる心の奥の細やかな気持ち。一方、アーティストは、地域に滞在し、住民と過ごしながら風土を感じて作品をつくりました。惹かれたのは、じゅんさいが採れる沼や、お年寄りが川と過ごした思い出、山の草刈りの風景。災害のニュースだけを見ていたら気づけなかったであろう、この土地の暮らしや豊かさまでを、丁寧に掬い取ってくださいました。そして大学生は、人口減少が進むこの地域でこれから人々がどんな役割を担っていくのか、これからの防災について、フィールドワークを通して見つめてきたことをポスターにして発表しました。
会場で、アーティストと農学部の学生が熱心に話し込んでいたこと。住民が改めてこの土地の豊かさに感じ入っていたこと。訪れてくださった観客のみなさんが、多様な視点からこの地域を見てくださったこと。そして、住人、アーティスト、大学生が交わり、同じ地域を見つめているからこその一体感が生まれていたこと。そうした風景を現場で感じられて、だいぶ胸が熱くなりました。
そうしたひとりひとりが、それぞれのやり方で走り出せるように――一緒に考えること、応援すること。私がいま行っているのは、そうしたことなのかもしれません。
コピーライターって、そもそも「応援係」や「考える係」のことではないだろうか、と思っている自分もいて、次に聞かれたときも、やっぱり「コピーライターでお願いします」と言ってしまいそうです。
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