リレーコラムについて

ペロチョマ

安達和英

人間は、もともと動物であって、
その動物的本能というものが、いまだ人間の行動に影響を及ぼしているという。

たとえば、男性の目線。
「道を歩いているとき、ついつい女性の胸元に目が行ってしまい、困っている。」
という男性たちの悩みをよく聞くが、
それは、「不規則に動いているものを追え!」という狩猟本能が備わっている影響らしい。
猫が、不規則に動く猫じゃらしに飛びつくように。

だけども人間は、その胸元には飛びつかない。
そこに人間の進化の真髄があるとも言える。

さて、ペロチョマ。

僕は嫁のことを、ペロチョマと呼んでいる。(2010年4月26日現在)
本名はヒロコ。
結婚してちょうど1年になるが、
ヒロコ→ヒロ→ヒロッチョ
→シロッチョ→シロチョ→シロチョマル
→ペロチョマル→ペロチョマ
と、約2カ月に1度ずつ、あだ名を微妙に変化させてきた。
すでに本名から残っているのは、ヒロコの“ロ”だけだ。

もちろん、嫁の家族も、友人も、誰1人としてペロチョマというあだ名では呼んでいない。

自分でも、なぜこうやってあだ名を変化させているのか、
なぜ、変化させたい願望にかられてしまうのか、わからなかった。
ところが、ある日。

電信柱におしっこをひっかけている犬を見て、気がついた。

僕の「あだ名スライド行動」も、
僕の中に備わっているひとつの動物的本能、
「マーキング本能」の影響なのではないか。

つまりはこういうことだ。
嫁は他の人間から、“ヒロコ”もしくは“ヒロ”と呼ばれている。
僕も、はじめはそう呼んでいた。
しかし、結婚したことにより、
その他の人間に対して「自らの縄張りをアピールすべし」というマーキング本能が働き、
“ヒロッチョ”と呼ぶ行動を促す。
さらに、「誰かがヒロッチョと呼び出す可能性も否定しきれない」
と、危険を察知したマーキング本能が
“シロッチョ”さらには“ペロチョマ”というように、
あだ名を定期的に変化させる行動を促しているのだ。

おそらく、また2ヶ月後には、違うあだ名で呼ぶことになるだろう。
そのときには、唯一残っている“ロ”も消えているかもしれない。
いつの日か、“武田さん”とか、全く別人の名前で嫁のことを呼ぶ日も来るかもしれない。

すまん、嫁。
でもこれは、しょうがないことなんだ。
僕のなかに備わっている動物的本能による行動なのだから。
犬のマーキングと比べれば、全然マシじゃないか。

みなさんも、是非この機会に、
自分の癖や行動を、
「動物的本能」という観点から見直してみてはいかがでしょうか。

はじめまして、昨年新人賞をいただいた安達和英と申します。
電通で、主にCMプランナーとして働いています。
リレーコラムを引き継いでくださった室井さんは、
オシャレさんのくせして、くだらないこととか大好きで、
いつもムフムフ思い出し笑いしてる印象があります。
その思い出し笑いが、なにがしかの動物的本能に影響されているものかどうかについては、
今後、しっかりと見極めていきたいと思います。

1週間、よろしくお願いいたします。

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