リレーコラムについて

隠れ営業志望の男 その3

森田直樹

「じゃ、明後日テストがあるので来てください」

テストって何だろ?まあきっと、漢字の書き取りかなんかだろう。
という程度の貧困な想像力しかなかった。
実際はですね、かなりてんこ盛りの内容。当たり前だけど。
コピーやら長文やら漢字やら、いろいろ書かされた。
何書いたなんて全然覚えてないが、何も知らない者のひらきなおりで、
そうとうデタラメなことを書いた気がする。
1週間後、電話がきた。
「内定しました」
本気かよ、この会社!でもなんか、涙が出そうな気がした。
いそいであの先輩に報告しなきゃ。
俺を救ってくれたあの人に!

昼間だったし、オフィスに電話してみた。
「ああ、彼は3日前に辞めましたよ」

その人は、コピーライターを廃業した。

俺ってやばい世界に足をつっこんだ?
やばいに決まってる、そもそも営業志望なんだよ俺。

これを書いていると、あの頃の情景が鮮明に思い出せる。
選択の余地のない人生がいよいよ始まった。

NO
年月日
名前
5954 2025.09.02 内山奈月 7票の重み
5953 2025.09.01 内山奈月 広告とは雑草
5952 2025.08.29 井村光明 会社を辞めて初めての朝のこと
5951 2025.08.28 井村光明 会社を辞めようか迷ったら、してみるといいこと
5950 2025.08.27 井村光明 会社を辞める時最初に決めなければならないこと
  • 年  月から   年  月まで