リレーコラムについて

疑問文のレッスン

角田誠

入学したばかりの中学で、娘の授業参観があった。

科目は英語。先生がdogの綴りが書かれたカードを

指差しながら「Is this a dog?」と尋ねると、

生徒達が「Yes.It’s a dog.」と答える。

「Good!」と誉められた生徒達は、続いてcatのカードを手に

「Is this a chair?」と尋ねる先生に、

「No.It’s not a chair.It’s a cat!」と大声で返す。

幾つかの例題を重ねた後は、boyのカードで

「Is this a boy or a doll?」。問題はやや高度になった。

それでも生徒達は「It’s a boy!」と元気がいい。

「Very good!」と言うように、終了のチャイムが鳴った。

それは、僕の心拍のようでもあった。

楽し気に帰り支度を始めたクラスメイトとは対照的に、

娘の顔だけに、ずっと「?」が浮かんでいたからだ。

校門脇のバス停で、尋ねてみた。

「英語、苦手か?」

「ううん。それよりも、

 椅子に間違われる猫って、どんな猫なの。

 人形みたいな男の子に、

 あたし、会ってみたい。」         

NO
年月日
名前
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