歯
偏食です。
小さい頃から
「社会人になったら、自分の本当に食べたいものだけ食べて生きよう」
と思っていました。
その思いで、待ちに待った新卒のころ、「蒲焼さん太郎」だけを食べていました。
近くのコンビニにある「太郎」を
行く度にあるだけ全部買い占めていたため、
売れ筋商品と認定され、陳列棚が3倍まで増えたりもしました。
当時はそのことを、やたら周囲に自慢していました。
疲れていたのかもしれません。
かなり不摂生な日々が続き、いろんな事が正しくなかったので、
(太郎は本当に何も悪くないのですが)
普通に、大虫歯(おおむしば)になりました。大変です。
しかし、なかなか歯医者に行く時間もとれず、
面倒がって先延ばしにしていました。
さすがに痛みが激しくなり、転職する折に、ようやく行きました。
先生との出会いです。
「これは痛そうだ。実は、先生も虫歯になることがあるからわかりますよ」
なんて、やさしいのだろう。
「正直、抜かないといけないレベルです。
でも歯の根っこは立派ですよ。頑張って治療して、残しましょう」
東京の人はなんて親切なのだろう。
涙ぐみました。
しかし、私の愚かさは先生の予想を上回ります。
素敵な先生に出会えたことに安堵し、また忙殺され、歯医者に行かなくなったのです。
書きながら、自分の愚かさにまた涙ぐみます。
次に行く頃には、
「もう…これは限界になっている。
抜かないといけない。申し訳ない。」と先生。
先生は全く悪くないのです。
私は口をあけ固定されたまま、必死に頭を振って否定しました。
結局、2本、歯を抜きました。
今でも2本、歯がありません。
抜いて10年ぐらいたった頃。
ようやく心の余裕がうまれ、「歯を入れよう」というところまできました。
しかし、10年歯がなかったため、
歯たちが渡り鳥よろしく大移動しているそうで、ガチャガチャになっていました。
やさしい先生はまだご健在で、また、良い助言をくれます。
いまインプラントをいれると、
歯の場所が変な位置でfixしてしまうとの説明があり、
「矯正してから歯を入れよう。
…これは大プロジェクトになるぞ」
との掛け声が。
突如、長期にわたるプロジェクトが発足しました。
矯正を始めて2年が経ちます。
なかなか険しい、噛むのが大変な日々です。
しかし、これを乗り越えた先に、インプラントを入れるフェーズがあり、
まだ途中段階にすぎません。
あのころの愚かな自分のように、どこかで立ち止まってしまうと、振り出しに戻る。
ということで、毎月かかさず矯正歯科に通っています。
そして、今では1mmの不調でも病院に駆け込むようにしています。
(なんか足が痛いとかでも。)
歯の二の舞にならないようにと心がけます。
足は、治りました。やっぱり歯はまだ2本ありません。
でも、確実に前に進んでいるのです。
先生をもう悲しませたくないんです。
これを成長と、呼ぶのでしょうか。