リレーコラムについて

単にエンタメとして広告が好き

花田礼

僕は広告というものが結構好きです。

 

「クライアント企業の売上に貢献できる」とか

「社会にとって良いものを広めることができる」とか、

そういった高尚な感覚というよりは、

シンプルにエンタメとして広告が好きです。

 

映画、小説、テレビ番組、漫画、お笑い、テーマパーク、

などなど、いろんなエンタメコンテンツがある中で

「広告」というフォーマットに学生時代から興味があり、

多くの方が好んで映画を観に行くような感覚で、

好き好んで広告を見たりする習慣があります。

 

といってももちろん、面白くないほとんどの広告は、

みなさん同様にHATEであります。

 

元々わりとテレビっ子だったり、お笑いも映画もそこそこ好きだったので、将来はそっち系(エンタメ系)の仕事に就きたいなあと、高校時代くらいからなんとなく思っていて、

 

学生時代は、文化祭でコント劇の脚本を書いたり、放送作家見習いとしてバラエティ番組の企画をしたり、お笑いコンビを組んでオーディションを受けたり、色々創作活動の真似事をしていました。そのときに、個人的に一番ワクワクしたのがCM制作でした。

 

理由は以下の4つあたりかなと思っています。

 

①すごい短い尺

②1アイデアの主役度が高い

③課題解決のための目的芸術である

④基本的にみんなから関心を持たれてない

 

それぞれについてもう少し紐解いてみます。

 

①すごい短い尺

僕が非常に飽きっぽく、落ち着きがない性格というのもありますが、映画やドラマなど、数十分や2時間じっと何かを見ているのが結構苦行です。作品を見ながらいろんな無関係な考え事をしてしまったりします。たまには夢中になって見ますが…

 

一方で広告は15秒とか、長くても数分とか。落ち着きのない僕からすると、鑑賞対象としても非常に秀逸なフォーマットなのです。

 

10年前くらいに電通の澤本さんもインタビューで「広告を選んだのは飽きっぽいから。映画を2時間見たりすることがなかなかできない」といった主旨のことをおっしゃっていて、学生ながらに「同じだ!」と勝手にシンパシーを感じたのを覚えています。(そんな澤本さんは後に映画を観るどころか作ってしまうんですけど…)

 

②1アイデアの主役度が高い

これも、僕が飽きっぽく、落ち着きがない性格というのに関わってくるのですが、広告はシンプルな1アイデアの主役度が高いというのも好きポイントの1つです。

 

例えばバラエティ番組の放送作家見習いをかじっていて感じたのは、「このアイディアさえあればうまくいく!」ということはなく、企画・構成・出演者などなど、変数がたくさんあります。どんなに面白い企画を思いついても、それだけで突破できるということは絶対にありません。

 

映画にしてみても、予告編やチラシを見て「この設定、超面白そう!」と思っても、2時間映画にすると駄作だった、というものはよくあると思います。1アイデアでは2時間持たないのです。

 

もちろん、実際に広告制作に携わっていると、1アイデアだけで突破できるというわけではなく、色んな部分の高得点が大事だということはわかってきました。それでも他のエンタメに比べると1アイデアの主役度が高いと感じます。その理由は尺の短さもありますし③の理由とも関わってきます。

 

③課題解決のための目的芸術である

広告には「ただ笑わせたい」「ただ感動させたい」ではなく、「企業の課題解決」という明確な目的があります。広告というエンタメは、「問題を解く」というエンタメです。

 

目的や課題があるからこそ、それに対する解法が鮮やかで美しく見えたりする時があります。それが好きです。

 

なので、良い広告というのは例えると、数学の証明問題を最短行数で解いた時のような美しさがあったりします。CMの最後のロゴマークや商品カットが、証明終了の「Q.E.D.」のように感じる時があり、僕の一番好きな科目は算数・数学だったので、そういったところがツボであるような気がします。

 

例えば図形問題では、一本補助線を引くだけであとは簡単に解ける、という時がありますが、広告にもきっと「一本の補助線」的なものがある時があり、だから②で書いたように1アイディアで突破できる場合があるのだと思います。

 

④基本的にみんなから関心を持たれてない

1800円出して映画のチケットを買う、TVのチャンネルをなんとなく変えずにいる、Youtubeでなんとなくクリックしてしまう、TikTokでランダムに出てくる映像を楽しむ。これらの行為には、多かれ少なかれ、受け手側に「これを見よう」という意思や興味・関心があります。

 

でも、広告は突然目の前に現れる。これが、嫌われやすい最大の原因でもあるんですが、「広告か、早く終わんねえかなあ」といったように1ミリも期待されてない分、良かった時の驚きや感動もズーンと胸にくると思うんですね。そういうゲリラ的な側面が、僕は好きです。企画者的には期待されてないくらいがオイシイ気がします。

 

 

 

とまあ、僕が広告を好きな理由なんて誰が興味あるんだ、という気もしますが、「エンタメとして広告が好き」という人を同世代でほとんど見かけたことがないので、なんとなく書き記しておこうと思いました。

NO
年月日
名前
5813 2024.12.04 山田大輝 嬉野
5812 2024.12.03 山田大輝 祖父の葬儀
5811 2024.12.02 山田大輝 なおたろう
5810 2024.11.29 小山田彰男 ラナパー(Renapur)に学ぶ
5809 2024.11.28 小山田彰男 クールビューティーへの憧れ
  • 年  月から   年  月まで