リレーコラムについて

郵便配達は二度ベルを鳴らす?

髙田美子

あなたは、電話のベル(ちと古いか?)を何回鳴らしてから
切りますか。最近、平均5〜6回以内、気の早い人だと3回位で
切ってしまうみたいだ。対角線に歩いても7〜8歩しかない
私の事務所でも取り損ねることがある。
たまに10何回も鳴る電話は英会話のセールスだったりして
無性に腹が立つ。
気がつけば友だちからの電話がすごく減っている。
7〜8年前の3分の1以下だ。「どうしてるかと思って。」
「別にたいした用はないんだけど。」
「ひまだから、ちょっと。いまいーい?」
といった類の電話はガタ減りした。もともと友だちが多い方じゃないが
ここへきて半分以上も失った訳ではない。
そう、メールのせいだ。口うるさい女友達も、
学校時代の友人も、仕事や趣味やいろんな場所で知り合った
人たちも、みんなメールで連絡しあうようになった。
となると、人間贅沢なもんで人の肉声が恋しくなる。
確かにメールは便利で確実だ。好きなときにひらいて、
自分のペースを乱されず、相手の時間を奪うこともない。
でも、人って多少の迷惑はかけられたいんじゃないのか。
あ、今話しているのは普通の電話(今は固定電話と
いうらしいけど)のことです。
ちょっと前、電話も便利だけどやっぱり手紙のよさにはかなわない。
といっていたのが、電話をなつかしむようになってるなんて。
一方で、携帯電話や携帯メールはますます饒舌になり
携帯を握りしめて歩いている人や、電車でも携帯の画面から
片時も目を離さない人が多くなった。
車内刷りの携帯電話のポスターなんて、全然見てなかったりして。
数日前、ギリシャの小さな村の郵便配達人のドキュメンタリーを見た。
記憶は正確ではないが「手紙に書かれた言葉は失われることがない。
読み返すたび、人の心を揺さぶる。」
と彼が静かに語るのになんだか感動してしまった。
うちのポストにそんな手紙が届いたのはいつだったろう。
その話をしたら、友人が「私はメール全部MOに保存してるわよ。」
とのたもうた。ウッ、それってほんと?
ヤメテクレ、と叫びたい気持ちだった。
手紙とはいわないけど、これ読んでくれたらみんな
たまには電話で声きかせてね。

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