リレーコラムについて

『戦場のコピーライター』

桜木浩一郎

こんにちは。電通の桜木といいます。
コピーライターになって6年弱ぐらい。
こないだ突然、
「コピーライターって何だろう?」
と思ってしまうことがありまして・・

たまには映画でもと思い、
通りがかりに『戦場のピアニスト』を見たんです。
(※映画や音楽のことは本当に素人です)

この映画、ピアニストがどうとか言う以前に、
あの時代のポーランドで一人のユダヤ人が
生き残るということの偶然に
息が詰まってしまったんですが、
ピアニストという職業がモノを言う、肝の場面があります。

廃墟に潜んで一人ようやく生き延びている主人公が、
巡回中のドイツ人将校と遭遇してしまうシーン。
即射殺されてもおかしくない状況で、
職業を問われた主人公が答えます。

「私は、ピアニストです」

その後ストーリーとしては、
じゃあ何か弾いてみろということで、
そこにたまたまあったピアノで主人公がスゴイ演奏をして
命を助けられる・・ということなんですが、
そのとき自分の頭はもう、まったく別の妄想でいっぱいになっていました。

これ、もしもコピーライターだったら、
撃たれちゃうのかなああああ。それとも・・

「私は、コピーライターです」
「じゃあ何かうまいこと言ってみろ」
「えっ、あっ、じゃ、3日後にプレゼ・・」
バキューン!

・・・やっぱり撃たれちゃうよなあ・・・い、いや、でも!!!

コピーライターってこういうとき(←ないけど)
撃たれちゃうような職業なんだろうなあ
という冷めた考えを抱く一方で、
どうもどこかで、信じてるんです、

そのときドイツ人将校が撃つのをやめたくなっちゃう
スゴイ言葉(コピー)が、必ず存在するんじゃないか??

で、それはたぶん、「戦争はいけない」とか
「人の命は尊い」みたいな
説教くさい話じゃないと思うんです。
もっとこう、ドイツ人将校の肩の力がふっと抜けちゃうような、
ユーモアだったりするんじゃないかなあ、と。

音楽の力にも匹敵するような、
ユーモアの力。

そういう普遍的なところをどこかで信じているから、
自分はコピーライターをやってるんだろうなあ。
(やめられないと言ったほうが正しいかも)

コピーライターの仕事は、
状況こそもっと現実的ですが、
そういうユーモアを楽しむことができる
またとない職業だと思っています。

さて。じゃあ、
ドイツ人将校が撃つのをやめたくなっちゃうような
スゴイ言葉とは・・
みなさんは思いつきますか?

壮大なことになってきたので、
逃げ出すことにします。

NO
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