リレーコラムについて

いいコピーが書けそう。

泉沢宗史

だいたい、子供の頃から、道具から入る性格でありました。

それがなければ、できないじゃない、みんな買ってもらんだ

からさあ、買ってくれよお、とごねて、ようやく買ってもら

うと、すぐあきてしまってまた怒られる。でも子供だから、

またほかに興味を移して、こんどはあれ買ってくれという。

どうせ、すぐにあきるんだから、とすぐには買ってくれない

親。その繰り返しで大人になってしまい、コピーライターと

いう職業について20年、その道具から入る性格は直らず、

「書くための道具」はいろいろ買ったなあ。いいコピーが書

けないのは才能のせいなのに、これを使ったらすごくいいコ

ピーが書けるかもしれない、という幻想を理由に。

僕がはじめてコピーライターという名刺をつくってもらった

のは、トーシン社クリエイテイブというプロダクションでし

た。ただコピーライター養成講座に通っただけのずぶの素人

なので、師匠のリライトからコピーの修行は始まりました。

その頃の僕の師匠は、いまは札幌で活躍されている根本信男

さんで、よく言えば味のある字、悪くいえばクライアントに

はそのまま持っていけない字で、半年間くらい、ずーっと毎

日根本さんのリライトをしていたような気がします。ここで

僕はやはり筆記具に凝ってしまう。コピーは鉛筆で書くのが

当時の基本。うーん、三菱のユニか、トンボのモノか。ステ

ッドラーのホルダー、シャーペンなら0.9ミリがいいという

ことを小耳にははさめば、製図用のシャーペン、プラチナの

プレスマン、パイロットの太い軸のシャーペンにもお世話に

なったなあ。ただ名品と言われたモンブランのPIXは買えな

かった。高かったなあ、その頃も。

時代は変わり、コピーはキーボードで打つものに変わりまし

た。なぜか僕は高校時代にタイプライターでブラインドタッ

チを習得してしまっていて、やはり、キーボードにも凝るの

であります。家には数台のキーボードがころがっている。

最近のお気に入りは、ハッピーハッキングキーボードという

のを会社ではバイオのノートブックにつなぎ、家では自作の

パソコンにつないで使っています。ノートブックパソコンも

キーボードのできの良さでThinkPad。

とはいうものの、筆記具への愛がなくなったかというと、そ

うでもなく、最近はセーラーの長刀研ぎ万年筆というのをイ

ンターネット通販で買ってしまいました。そのウェブで買え

ば3割引とういうことにショックを受け、気を失い、気がつ

いたときには、購入のクリックをしていたのです。また、今

日は午後、ちょっとあいた時間に青山にでかけ、ペンブティ

ック書斎館で、若い頃欲しかったモンブランのPIXとうシャ

ーペンを見せてもらってました。前から欲しい、欲しいと思

っていたものが目の前に並ぶました。しかし3万円。高い。

カードは使えますか、ええ、使えますよ、と品のいい女性。

僕は一瞬、気を失いかけたのだが、ヨドバシ新宿店でやはり

気絶し、気がついたらニコンのデジカメD100を予約してしま

ったを思い出しなんとか正気のまま店をでることに成功した

ました。

ついに発売、モンブランのあの書き味をキーボードに、なん

てものが出たら、僕、すぐに予約しちゃうだけどなあ。

いいコピーが書けそうだなあ。

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