リレーコラムについて

ちょっとうれしかったこと

手塚俊兵

フリーをやめアサツーディ・ケイのコピーライターになって
もうすぐ10年です。この間さまざまな業種の仕事を担当させ
ていただきましたが、去年私のいちばん好きな食品分野で久
しぶりに仕事をする機会に恵まれました。

そこでできたコピーが、「これぞ、ラーメンアルデンテ」。
自分でも結構気に入っている麺職人というカップ麺のキャッ
チコピーです。この仕事は製品開発の段階から携わらせても
らっていたのですが、実はこれ、パッケージ用のコピーとし
て提案したものの1本でした。それがクライアントのブラン
ドマネージャーの御眼鏡にかない、一気にキャッチフレーズ
にまで昇格したのです。「このラーメンアルデンテゆうのは
ちょっと新しい感じでええかも知れんなあ。パッケージだけ
やのうて、CMのナレーションもこれでええんちゃう?」と。
それはそれは驚くほど気持ちよく採用していただきました。
そして紆余曲折を経て国中涼子さんを起用したCMが完成し、
秋口にキャンペーンがスタート。世の中にラーメンアルデン
テがどっと露出されました。CMは少しだけ話題になり、商
品は売上目標をクリアし、キャンペーンは終了しました。

広告が終われば、商品を棚落ちさせる店も現れます。すべて
の店で麺職人を見ることができなくなって、一抹の寂しさを
感じはじめたつい先日、住まいの近所の大型ドラッグストア
の食品売場で、私は麺職人と再会したのです。脇にはお店の
人の手書きであろう「これぞ、ラーメンアルデンテ」のPOP
が添えられていました。パッケージの書体に合わせようと一
文字一文字レタリングまでされています。
広告コピーは消費者に向けてメッセージされるものですが、
商品を売るのは流通サイドの人たちです。麺職人をひとつで
も多く売るために、流通の現場で働く人が私の書いたコピー
を使ってくれたことを思うと、うれしさがじんわりと込みあ
げてきました。

私は麺職人の特製醤油味(この「特性」という表記もこだわ
って提案し、採用していただきました)を3つ購入し、家に
帰ると早速お湯を注いでズルズルとすすりはじめました。す
ると音と匂いにつられてもうすぐ1歳になる娘が、バウバウ
言いながら私に近づいてきました。それは、私が初めて見る
娘の歩く姿でした。

NO
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