リレーコラムについて

ドアを開けると、そこはデブ専だった

白部真一

 札幌に来たのは2度目だった。
 後輩のSは、はじめての出張ということもあり、スーツで決めていた。靴は皮底。ヤツはススキノのピンク街で思いっきり転んだ。歩道には雪がびっしりだった。札幌ビギナーはこれだから困る。そこへ、呼び込みのおにーちゃんが寄ってきた。ヤツの転びっぷりのよさは、誰が見ても土地の者ではない。しかも、僕は呼び込みのおにーさんに案内されて知らない世界へいくのが好きときている。女子大生パブ、50分5,000円。ただし延長は10分おきに、かなり上乗せされるから、50分だけ遊ぶんなら、これほどいいとこはないよ。延長はしないほうがいいと思うけどさ。親切なお誘いに、ジーンときた。さすが、札幌ススキノ。気温は冷たいけど、気持ちは暖かい。コピーライターは、いいコピーに弱い。などと、感心し、店へ連れられていった。
 黒い扉。看板はない。高級秘密クラブ風女子大生パブ。札幌の女子大生は安っぽくは、ないのだ。店内は真っ暗。あらあら、恥ずかしがりやさんばかりなのかしら。後輩のSとは別の席に案内される。ここから先はプラーベートタイムだ。席で待つこと1分。時間はあと49分しかない。水割りとともに女子大生の登場だ。しかし、姿は見えない。顔も見えない。しかし感じる、肉厚な空気を。軽い挨拶がすむと、女子大生は僕の太ももをさわりはじめた。感じる、太い指を。お客さん東京で遊んでるんでしょ?本番3万円でいいんだけど、上の部屋で遊んでいかない?セールストークの隙をぬって彼女のペンライトを拝借し顔を見た。感は、悲しいぐらいに当たった。そこには、土俵にいるはずのコニシキな女子大生がいた。
 それから5分おきに彼女の営業攻撃だ。困るんだよワタシという彼女。こっちが困るんだよ、と僕。価格破壊がすすみ、3万円が2万円、そして1万円に。もうちょっと、まけて。じゃなく、困りはてた。危ない空気も感じた。気づくのが遅いのだ僕は。トイレにたち、財布にある大枚を靴下の中にしまいこんだ。いわゆる危機管理だ。席に戻ると、後輩のSが気になった。あいつだけ、いい思いをしてたら許さない。ここの料金は、俺がまとめて、払ったのだから。
 業を煮やし帰る!と宣言。通路を遮る、コニシキな女。どっからか、もうひとりでてきた。こいつも、モア・コニシキな感じだ。なに、デブ専?後輩のSもあわててでてきた、そのうしろにコニシキな女がいたのはいうまでもなかった。

 
来週は、女殺しコピーでおなじみの電通九州・門田陽さんです。お楽しみに。

NO
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