リレーコラムについて

午 YEAR OF THE HORSE

川見航太

前回のつづき。
新しい出会いと別れの年があれば、
ばたばたと入れ替わる人の流れの中でも
自分なりの居場所を見つけ、しみじみと感謝する。
そんな年もまた、あります。

2012年、僕の目標は、
2011年の東日本大震災の復興のために
広告制作者として
何らかの仕事をするということでした。
自分にできることをしたい。
そう考えた人が、あのときは
多かったのではないかと思います。

幸い、担当しているクライアントさんに
規模の大きいビジネスに携わる企業が2社あり、
CSR活動にも熱心であったことから、
2つのシリーズ企画を実現することができました。

ひとつは、三井物産の新聞広告シリーズ「挑戦と創造」。
新たなことに取り組む著名人による応援メッセージを、
取材や、寄稿によって集め、
2年半に渡って掲載する企業広告です。
作家さんに寄稿いただいたり、
アーティストの方にインタビューをさせてもらうなど、
普段にはあまりない、編集的な仕事を新しく感じました。

もうひとつは、三井住友フィナンシャルグループの
CSRコミュニケーションブック
“自分なりに「復興」を考える7つのヒント”。
全国の店舗に置かれる冊子ですが、
企業からの一方通行の「活動報告」ではなく、
ふつうの人が、「自分なりに何ができるか」という観点で
編集するため、被災地での営業活動や、
CSR活動に携わった方々に取材しました。
宮城県副知事と当時の銀行副頭取との
対談を実現いただくなど、企業内部での思いの高まりに
触れられたのも、いい経験でした。

今考えてみると、そのときは
震災復興というテーマで仕事をしているつもりだけれど、
取材のクオリティも、編集の技術としても、
まだまだ全くなっていなかったと思います。

それでも、僕がインタビューをさせてもらった
被災地のために動いているある方には
「若い人も、捨てたもんじゃないんだな」
ということを言ってもらえたことがありました。
それは、くすぐったいことでもあるけれど
励ましてもらったようで嬉しく、
だからこそ、自分はもっと技術を磨くことで
役立ちたいと思うようになりました。

2013年は、一連の仕事の中で、
「編集」「コンテンツ」「メディア」というテーマについて
考えるきっかけをもらうことができた年でした。
それがターニングポイントになって、
今につながっているのですが、
それについてはまた、別の話として
書いていきたいと思います。

2013年はまた、
自分の知らない世界に
飛び込むことの多かった年でもありました。
そこでは、どこの馬の骨ともわからない自分に
真摯に耳を傾けてくれる人に会うことができました。

だから、2014年の年賀状には、
自分がやることを見つけられた嬉しさと
感謝の気持ちが気分として出ています。

イラストは、元同僚の大宮講平さん。

渋谷の会社でアートディレクターとして
幅広い領域で仕事をする傍ら、
個展を行うなど、精力的に活動されています。

安西水丸とワイズベッカーを愛し
毎回テーマについて素敵な答えを
返してくれるイラストレーターでもあり、
いまでは毎年の年賀状を年末に
一緒に作ることが恒例行事となっています。

大宮さんにイラストのご依頼をしたい、
という方はこちらまで。
http://www.overheadtokyo.com/

♨ きょうも、だいぶ、わいてます。
よかったら、つながってください。

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