リレーコラムについて

純文学とタイトルの話

藤田卓也

超個人的2015年流行語大賞は、やっぱり「火花」です。

「240万部突破」「文芸誌が初の重版」「芥川賞受賞」
実績はもちろんスゴい。スゴすぎる。
読んでみたんですけど、やっぱり抜群に面白い。
でももっと素敵なのは、又吉さんの人柄ですよね。
芥川賞の賞金100万円で、母校のサッカー部にユニフォームを寄贈したそうです。
いい人すぎる。

ファンになって調べるうち、
ある疑問に行き着きました。
そう、純文学って結局なんやねん問題です。

調べたら出るわ出るわ、純文学情報たち。
(これ深入りすると頭こんがらがるやつだ…)
と途方に暮れてたんですが一つだけ「へぇー!」となるものが。

キーワードは「ポリフォニー」。
〝多声性〟という意味で、要は物語の中にいろんな考えが出てくること。
「作家というのは書きたい思想っていうのをまず書いて、
 でも自分とは正反対の意見もわざと書くんです」
とは作家・中村文則さんの弁。
異なる意見を戦わせたまま、放っておく。
それが純文学の個性の一つだそうです。
又吉さんの「火花」、確かに当てはまってます。

これって地味だけど、大きな変化のキザシかも、と思いました。
受け取り方はあなた次第!って純文学が、ミリオンセラーですから。
分かりやすいキャラ、分かりやすい言葉遣い、分かりやすい結末。
みんなそういうのに飽きちゃった。
検索すればたいていの答えはすぐ出る。
だからこそ、謎が響く。
検索より、探索。
想像力勝負。
考えさせられるストレスが、快感にもなる。
(今年の朝日広告賞一般公募の部グランプリ作品のように)

ちなみに、「読み手の想像力を駆り立てる本」という点では、
もう絶対に見逃せない名企画があります。
その名も「第8回日本タイトルだけ大賞」。
http://www.sinkan.jp/special/title_only_8th/
内容なんておかまいなし、本のタイトルだけで審査される賞です。
過去の受賞作には、
「人間にとってスイカとは何か」
「妻が椎茸だったころ」
「あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね」
などなど、脳内アドレナリンドバドバな本が並びます。
(よく出版できたな)

負けないくらい面白いコピー、書けるようになりたいものです。

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