リレーコラムについて

あれから何か変わったかな。

児島令子

先週の井田さんのコラムよかったな。うん、よかった。
4日目のコラムを読んでて、昔書いたコピーが思い浮かびました。
「私、誰の人生もうらやましくないわ。」

これはシングル家電の広告で、
シングルウーマンのコピーだったのだけど、
子育てウーマン井田さんには、子育てウーマン井田さんなりの、
「うらやましくないわ」があるんだなと。見つけたんだなと。
 

というわけで、バトンを受け継いだ児島令子です。
前回書いたのが2002年10月。ほぼ11年ぶりのコラムですね。

ひさしぶりに前回のを読み返してみたんですが、
いやあ、、、、わりと恥ずかしい。
コピーにまつわること、けっこうあつくるしく書いてます。
そういやあのときは、1週間仕事をシャットアウトして、
ひたすらコラム書きに専念してた記憶があります。ほんまです。

さて、前回の2002年の私と、2014年のいまの私。
コピーライターとしてどう変わっただろう。
それとも変わってないだろう。

当時もいまも同じフリーだし、
東京に引っ越さず大阪にいるし、
あいかわらず夜型人間だし、
11才年を取っちゃった以外は、
そんなに変わってない気もするけど、どうなんでしょう。

なので明日からは、
自分のコピーライティングをとりまく、
物理的な、あるいは精神的な変化について、
コラムを書きながら軽~く考えてみようかな
なんて思ってるので、よろしくおつきあいください。

話は変わるのですが、
2014年1月3日、やしきたかじんさんが亡くなりました。
春には復帰かという情報もあったので、ショックでした。

私がコピーライターになりたてほやほやの頃、
たかじんのコンサートのポスターのコピーをプレゼンする機会がありました。
当時からたかじんさんはあの独特のキャラで、
歌は甘く上手く、トークは切れました。
なので私は、
いかにもなコンサートポスターのコピーにはしたくないと思いました。
たかじんらしいものにしたいと。で、私が書いたコピーはこれ。

「勝手です。たかじん」

たかじんの事務所へ行って、直接本人にコピーを見せると、
下の喫茶店で話そうということになりました。
コーヒーを飲みながら、なんかすごく説教されました。
「コピーっていうのはな、」
「コピーライターっていうのはな、」と延々。

そりゃそうです。あんなコピーでは。 
たかじんにとってのコンサートの意味を考えず、というか知りもせず、
たかじんらしいものにしたいと言いつつ、
それは自分らしいものにしたいという奢りでしかない。

「勝手です。」って、言いたかっただけとちゃうん?
いまの私ならそう突っ込みます。

コンサートのポスターで、あえて「勝手です。」と言うことが
強いとか差別化になるとか思ってる子どもでした。
でもそのときはわからなかった。
そのコピーが、せいいっぱい自分が仕事をしたコピーだった。
大人はわかってくれない、
たかじんはわかってくれないと感じていました。

私のコピーはボツりました。
数週間後、街でたかじんのコンサートのポスターを見ました。
サングラス姿のダンディな写真に、
なんだか大人な感じのコピーが入っていました。
(私は、やっぱりいかにもなコピーだなと思いました。)

そのコピーは覚えてないけれど、
喫茶店で説教されてた場面は、いまでもはっきり覚えています。
説教しながら、人とちゃんと関わろうとしてくれた男の姿でした。

私の人生と、ほんの一瞬すれ違ったやしきたかじんさん、
ご冥福をお祈りいたします。

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