リレーコラムについて

恩返し

外﨑郁美

ときどき、自分がこの世に
存在している意味について思う。

たとえば自分の経済効果。
自分がこれまで両親に
かけてもらったお金のぶんだけ、
この世にちゃんと産み出せているだろうかと。

思えば私は、何かと
経済効果で物事を考えていた気がする。
自分はプー太郎(女ならプー子)なのに
医者と結婚したいと結婚相談所に群がるひと。
自分は怠けておいて相手にお金を稼がせるなんて
なんて面の皮が厚いのだろう。
そう思っていたのも、たぶんひとを
経済価値で測っていたところが
少なからずあったのかもしれない。

けれど最近あたらしい指標を意識するようになった。
愛情。そういう数字では測りづらいもの。
実家に帰ったときに
それとなく結婚の話をふられたときに、
私は父にこう言い放った。
私は稼いでいる。
自分のぶんは自分で稼げる。
だったら、そうじゃない女のひとに
稼ぐ男を譲ろうじゃないか。
全員くれてやる。
私には必要ない。

すると父はちょっとあきれて言った。
私には、人と生きていくことの
大変さもふくめて学んでほしい。
人と生きて関わっていくことでしか
成長できないことがたくさんある。
そういう人間として学ぶべきことを
学んでほしい。

がつん。
これはけっこうがつんとくる言葉だった。
両親は、私にこれっぽっちも
仕事のことを聞いてこない。
たぶん、ほっといても
仕事はそれなりにはやると
思ってくれているみたいだけど。
もしかしたらその他の面で
とても心配をかけている気がする。

最近ちょっと思うようになったのが、
私が両親にできる恩返しって、
両親だけでなく、
他人にどれだけ愛情を注げるかということ。
これまで注いでもらった愛情を、
他人に返せたら。
お金をこの世に還元できるなら、
愛情だってこの世に還元できるはず。
自分のなかでのちょっとあたらしい試み。
どんな変化がやってくるのか
ちょっとたのしみだったりします。

そんなこんなで、
5日間ありがとうございました!
また、ここで書ける日を楽しみにしています。

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