リレーコラムについて

コピーライターをやめる理由は、見つからないから気をつけろ。

井口雄大

確か中学の頃だったと思う。
大橋巨泉さんが司会をしている「ギミア・ぶれいく」という番組があって、
その中で埋蔵金を掘っている、ひとりのおじさんがいた。
「この人、大人なのに、ずいぶん楽しそうだなあ。」
その人は、コピーライターだった。

コピーライターは、広告のキャッチコピーを書く。
でも、ゲームをつくったり、埋蔵金を掘ったりすることもできる。
小説を書いたり、歌詞を書いたり、司会をしたり、
ウェブ上に新聞とも雑誌とも言えるサイトをつくって、
会いたい人に会ったり、つくりたいものをつくることもできる。

そういう先人がいると、
そして、その人がいまだに
東京コピーライターズクラブの会員だったりすると、
もう、コピーライターという仕事をやめる理由は見つけにくい。

コピーライターは、メディアに規定されない。
コピーを考える技術は、広告にしばられない。
考える技術と、それを伝える技術があれば、
出来ることがたくさんあります。
さて、この技術を使って何しましょうか。
そう、問いかけられているような気がしてしまう。

で、その考え方がデフォルトになると、

コピーライターになって16年目を迎えて、
今となっては、ほぼ会社にいないイキのいい先輩たちに囲まれて、
ずっと若手のつもりだったけど、
さすがに、この数字を前にして、
もう若手じゃないのかな、と思うようになっても、

「16年目ということは、
 えー、自分が入社したときの、
 あの人と、あの人と、あの人かあ…。どひゃー!!」
というようなことを考えて落ち込む4月や、

「今年何つくったっけ?もう半分終わっちゃったよ」
と焦る7月を、もう15回も迎えてることに気付いて、
しかも来年も同じことを、同じ時期に考えているような気がしても、

コピーライターに見切りをつけて、他の仕事を探す気にはなれない。
俺だって、もっと面白いこと、新しいこと、できるよなあ。
コピーライターのままで。
そう思ってしまう人は結構いるんじゃないかなあ。

2日遅れの更新に一週間お付き合いいただき、
どうもありがとうございました。
来週は、僕が会社に入ってから二人目の師匠、
滝川修志さんです。
何も教えてないよ、って返されそうですが、
師匠っていうのは、よく教えてくれた人じゃなくて、
盗むべきものが沢山あった人なんですよね。

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