リレーコラムについて

勘違いしてるから、遠くまでいける。

井口雄大

「うーん、タクシーじゃないと
いけない距離ですね」
という営業の言葉が制作チームに火をつけた。
得意先と二時間半、熱い議論を交わした末、
再プレが決定。
僕らはどうしても鰻を食べる必要があった。

CDの鋭い眼差しが営業の額を射抜く。
「お前、そんなこと言って、
もうちょっと安く済ませたいだけだろう?」
とその眼が言っている。
ここは鰻を貫くべきだ、
というクリエイティブディレクションが下った。
そう感じたコピーライターはすかさず、
「えぇ?!タクシー?
何言ってんですか、歩きましょうよ」という台詞を書いた。
「遠いからやめましょう」という指摘に対して、
「いや、そんな遠くないです」と反論しても永遠の平行線。
むしろ、「タクシーの距離か否か」に話のポイントをずらし、
議論を続行することで、
やがて鰻は変更し難い主題になる、
という計算し尽くされたコピーワークだ。
これは文字原稿ね。と思ったADは
ひたすら頷く、というシンプルかつ効果的な援護射撃に徹した。
さすがカンヌシルバーをとってるだけのことはある。

「いやぁ、タクシーだと思うけどなぁ…」
そう言い続ける営業を尻目に、僕らは歩き続けた。
鰻屋は思っていたより遠かった。
炎天下という気象条件を考慮すれば、
確かにタクシーの距離と言えなくもない。
少なくとも僕らの主張より2ブロックも先だった。

しかし、果たして店の場所を正確に把握していたら、
そもそも行く気になってたかどうか。
あの美味しい鰻に辿り着けたかどうか。
N山さん、ごめんなさい。
そして、ごちそうさまでした!

こういうことがあるから、人生はわからないなあ。

もう金曜日なのに、水曜日の日付でコラムを更新してる井口です。
新しいリクルートのキャンペーンに
こんなコピーはいかがでしょうか。
ちょっと違いますかね?キャッチだけならどうですかね?

NO
年月日
名前
5669 2024.02.20 佐藤雄介 上田さんについて
5668 2024.02.09 堀田さくら 最後かもしれないだろ
5667 2024.02.07 堀田さくら 外資系の人事って、こんな感じかなぁ
5666 2024.02.06 堀田さくら ゲームをしたいのか、仕事をしたくないのか。
5665 2024.02.05 佐藤一貴 神宮外野指定席C
  • 年  月から   年  月まで