リレーコラムについて

最後のホームルーム

葛西洋介

小学校の卒業式の思い出です。

式が終わったあと、クラスのみんなが教室に集まり、
最後の「かえりの会」が始まりました。
6年間ずっと担任だった本間先生が、
巣立ってゆく僕らにどんな話をしてくれたかは、憶えていません。
でも、そのあとのことはよく憶えています。
本間先生から、サプライズプレゼントがありました。

「これは、みなさんが入学して、初めての授業で描いてもらった絵です。
今から、みなさんに返します」

みんなが入学時に描いた絵。
一人一枚の画用紙に、クレヨンで思い思いの絵を描いていました。
画用紙の裏には自筆で名前が書いてあります。
先生は生徒を一人ずつ教壇に呼び、絵を手渡しで返しました。
それぞれの6年前の絵に、一言ずつコメントをくれました。

たくさんの色を使って、きれいな花の絵を描いた女の子がいました。
ヒーローの絵を描いた男の子がいました。
絵はうまいけど、裏面の名前が書けなかった子もいました。
転校してしまった子の絵もありました。
絵を見ながらきっとみんな、
自分たちの成長を実感したり、
6年間を振り返ったりしてたんだと思います。

で、僕は、どんな絵を描いたんだっけ?
と思っていたら、名前を呼ばれました。

「かさいようすけ!」

最後のホームルームです。
本間先生に名前を呼ばれることも最後です。
僕は、元気に返事をしたことでしょう。
そして、先生は僕の絵を見てひとこと。

「ようすけは、ウンコを描いた。」

画用紙いっぱいに、「こげちゃ」のクレヨン一色で、
とぐろを巻いたウンコの絵が描かれていました。

クラスのみんなに笑われながら、
卒業証書を受け取るような体勢で、
僕はウンコを受け取りました。

その絵は、もちろん保管していません。


はじめまして電通Y&Rの葛西洋介です。
小林智拡さんからバトンを受け取りました。
新婚ですが、ほやほやのウンコの話ですみません。
ウンコの後ですので、
次回はウォシュレットの話をしようと思います。
一週間よろしくお願いします。

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