リレーコラムについて

コピーライター

阿部広太郎

「社会の役に立つ広告をつくってください。
 それは必ずクライアントの役に立つ広告になります」

クリエーティブに来てはじめての正月。
師匠から来た年賀状にはそう書いてあった。

「向いてるかどうかよりも、やりたいかどうかなんだよ」

焦っている僕の内心を見抜くかのように、
師匠はそう声を掛けてくれた。

「辛いことがあってもその経験は絶対にコピーにいきるから」

どんな頑張れよりも師匠のその言葉は胸に響いた。

お世話になった。
というレベルをはるかに超越して。
いまの自分があるのは。
こうして仕事ができているのは。
師匠の福井さんのおかげだ。

忘れもしない。
一日中どきどきしていた。
FacebookのTCCのサイトを見ては、
その場にあるかどうかもわからない、
自分の5本のコピーが残っていることを祈った。
夕方5時頃。電話。
アイホンを持つ手が震えた。
新人賞の速報を受けて、すぐ、すぐに、
師匠のデスクまで報告に行って、
いままでのいろんなことが思い浮かんで、
なにも言えずただその場につったってしまった。
おめでとう、と一言声を掛けてもらって、
ありがとうございました、と僕は声をふりしぼり、
なんだかこのままだと涙腺がぐぐっと危なかったので、
足早にその場を去った。

受賞の連絡を受ける前と、連絡を受けた後。
きっと、別に決定的な何かが変わったわけではないんだろう。
でも、なんというか、目の前がさーっと音を立てて
広がっていくようなそんな感じがした。
間違ってなかったんだ。

実感がないまま行ったTCCの50周年式典。
あたり前のことだけど、
年鑑で何度も何度も何度も見た人たちがすぐそこにいる。

賑わう会場の後ろの方で、
僕はぽつんとひとり立って。
インターンシップで、
授業を眺めていた時から、
ずいぶん遠くまで来たなぁ。
そんなことを思っていた。

会場には人事の時に、
最後まで面倒を見てくれたCD、西橋さんもいて。
「阿部くんが、ほんとに入ってるのか見に来たよ」
そんなことを言いながら笑っているのを見て、
なんてやさしい人なんだろうと思った。

コピーライターって、
すごく孤独な仕事じゃないですか。
徹夜明けにも打合せは待っていて。
コピーや企画を出さなければ、
その打合せにいる意味はない。
でもひとりだけじゃ、
ぜったいやっていけなくて。
いろんな人に見てもらって、
助けてもらって、力をもらって。
すこしずつ書けるようになっていくんだと思う。
僕に特別な才能はないけれど、
人との出会いが、強い強い追い風となって、
僕の背中を押してくれました。

新人賞を獲ったら一人前。
になれてるのかはわからないけれど、
いままで以上に必死にやります。
できることは山ほどある。
がんばる理由も山ほどある。

ここからだぞ、俺。

僕のリレーコラムももう終わりです。
なんとかここまで来れました。
最後の最後までお付き合いいただき、
本当にありがとうございました。

こうやって文章にすると、
すごい努力家みたいになってしまいますが、
逃げ出したくなったことも何度もあるし、
毎日毎日なんとかぎりぎり乗り切ってます。

このコラムは、気合入れて書きました。
誰かの背中を押せるコラムになれたらいいな。
そんな思いで、一文字一文字、大切に書きました。

最後にひとつだけ、
宣伝させてもらってもいいですか。

昨年3月。
宣伝会議の谷山・井村・吉岡・照井クラスで出会った、
石神慎吾と木下龍也と3人で、
“うわのそらたち”という会を結成しました。
ふだんはブログで活動をしています。
http://uwanosoratachi.blogspot.jp/

3人が書いた言葉に、
博報堂の鈴木智也がデザインをしてくれて、
このたび、電子書籍をつくりました。
うわのそらたち DEGITAL BOOK_VOL.1

http://bit.ly/MfO03O

てづくりの81ページ。
書くことが好きな3人のちいさな挑戦です。
もしよろしければ読んでみてください。
もしコメントをいただけたらすごく嬉しいです。
書くことが好きなら、どんどん書いちゃえばいいんですよね。
きっと。

印刷用にサイズが大きい
PDFファイルもあるので、
もし必要な方は、
uwanosoratachi@gmail.com
までメールください。

というわけで、
リレーコラムのバトンは、
はとバスの

同じツアーの外国の人が、楽しそうか、なぜか気になる。

というコピーで新人賞を獲られた宮田知明さんに渡します。
笑顔がやさしいすてきな先輩です。

宮田さん、よろしくお願いします!

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