リレーコラムについて

おんなともだち。

神尾香菜子

出会ったとき、Aはともだちの彼氏でした。

Aは一見、細身でおしゃれなごくふつうの男性。
わたしたちは大学3年の夏に山のふもとで初めて出会い、
友人どうし5人で富士登山をしました。
Aを紹介された瞬間から、わたしはある事実にたいし、
本能的に違和感をおぼえていました。

それは、Aの性別が男だということ。

わたしたちは8合目のロッジで仮眠をとりました。
そのころの私は、必要以上に男性に過敏になってしまう女子大出身のウブなタイプ。
そんな私のとなりのふとんにAが寝ることになりました。
いつもの私であれば、「ちょっと申し訳ないんですけどっ男子はあっちに寝てもらえますかっ。」
と学級委員長女子のように目くじら立てて指摘するところ。
でも隣にAが寝ても、嫌悪感や緊張感をなにひとつ感じない。
わたしの本能は完全にAの性別を「女」と認識していたのです。

その5年後くらいに、Aは女性として生きることをえらびました。

あれからだいぶ月日がたつのですが、ある飲みの場でわたしが紹介したひとが、
Aに対して「波乱万丈の人生ですね」「性同一性障害であることを克服したなんてすごい」
とべたぼめしたことがありました。
私たちはなんだか、もやもやする気持ちがおさえられません。
別に悪口を言われているわけではないのに。うーん。

私「なんか、ごめん・・・。」
A「いや、べつにいんだけど。」
私「・・・。」
A「まあ、そうなんだけどね。」
私「なんか、おもしろくないよね。」
A「あー、つまんないね。」
私「悪い人じゃないんだよね。」
A「いや、そう。ぜんぜん悪い人じゃない。」

おんなともだちは、
あんがい異性以上に「本能」や「生理」で
関係がなりたっているんじゃないか、と思うことがあります。

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