考えるだけじゃ、まちがえる。
「見える」という人に見てもらったことがあります。
その人は小さなバーで、私の後ろを見て言いました。
「おばあさんが、いつも見守ってくれていますね。」
父の実家は、島根の奥深い山の中にあります。
周りに人がいないその家で、
祖母はほとんど自給自足の生活をして、
百歳まで生きました。
わが家のお墓もそこにあります。
法事のときは大変です。
夜行バスで夜のうちに広島まで行き、
早朝から電車を乗り継ぎ、駅から車で山に登り、
昼過ぎにようやく家に着きます。
私は跡継ぎなので、
その古い家とお墓を継ぐことになります。
いいところだとは思うのですが、正直、大変。
そこで、
「見える人」を通じて祖母に伝えてもらいました。
「お墓があそこにあるのは大変なんだ」と。
すると祖母はこう答えたそうです。
「私は離れるのが怖いくらい愛していたけど、
家もお墓も、残されたあなたで考えればいい」と。
ホッとしました。でも、続きがありました。
「でも、みんなが帰るところがあるというのはいいものよ」。
う〜む、それもそうだ。自分はこの世に、
ポコンとひとりで生まれたわけじゃない。
途方もない人のつながりがあって、
奇跡のように生まれ、生きている。
見えないけど大切なつながりを、
あの家が、墓が教えてくれる。
それはとても、ありがたいことだ。
自分の小さな頭だけで
決めてはいけないことがある。
ちゃんと、心を働かせないと。
とかく効率化が求められるいま、
広告の世界でも戦略やロジックが幅を利かせている。
でも、せめて言葉を扱うコピーライターは、
頭と手と、そして心を、怠けることなく
働かせないといけない。そう、思います。
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