リレーコラムについて

東京転勤11.15

宮井政明

2010年、私は風呂敷専門店「唐草屋」のポスターで新人賞をいただきました。
実際に風呂敷もプロデュースしており、昨年の祇園祭からの発売以来、
おかげさまで、いまも順調に売れています。

その風呂敷の名は「クニエ唐草」といい、
京都在住のアーティスト・カンバラクニエさんと制作しました。

打ち合わせは、クニエさんのパートナーでもある妹のヨシエさんと
三条河原町ですることが多く、夏場は川床(ゆか)でと、
なかなか風流な雰囲気の中で話を進めていきました。
川床に小雨がぱらついてきても
「そのうちやむでしょう」のヨシエさんの一言で、
プランを練り続けたことも。

打ち合わせの際、私はクニエさんの作品集『ECHO』を指し、
「これって、“お経”ですよね」と言い、
「そうなんです!この作品集には禅の思想が入っていると言われました」
と返ってきたのをよく覚えています。
ちなみに、禅の思想が入っていると言われたのは、現在の旦那さんである
お寺の副住職さんなのですが。

クニエさんの作品集『ECHO』では、
悲しげな女性の横顔やエッシャーのだまし絵を思わせるモチーフ、
桜の花びらのような斑点などがページを繰る毎に続いていきます。
とにかく物語があるようで無い、無いようである。
作品集を見ていただくしか説明のしようがない構成なのですが、
要は、何度見てもよくわからないのです。何なのコレ?という感じで。
ただ、見終わった感想はいつも“美しい”の一言に尽きるのです。
正確に言うと、美しいを通り越して、ちょっと、“怖い”、かも。
で、気がつくと、自然と気持ちが安らいでいるのです。
私はこの風呂敷の制作にとりかかろうとする頃、
毎日、幾度となく『ECHO』を見返していました。
何だかわからないけれど、何度も見たくなる。
で、これは私にとっての“お経”かもしれないと、ふと思ったのです。
とにかく、最後まで一通り目を通すと気持ちが安らぐ。
知らず知らずのうちに、目で写経をしている感覚になっていたのです。

そんなカンバラクニエさんの展覧会が、11月15日(火)まで、
JR大阪三越伊勢丹で開催されています。
今回は竹笹堂さんと、木版画「いまうきよえ」に挑戦。
これがまたいい!私、一点購入しました。
お時間のある方は、ぜひ!
(会場では「クニエ唐草」も販売しています)

最後に、もうひとつ宣伝を。
こちらも11月15日(火)までですが、伊勢丹新宿店で開催されている
「ふふふ、ふろしき祭」に、唐草屋が参加しています。
お時間のある方は、ぜひぜひ!

それでは来週は、あるときはコピーライター、またあるときは映像作家、
そしてトークライブもこなすサブカルスター、1000の顔を持つ異才、
同期のフリーランス・安田健一に、ズーム・イン!

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