ヘンな体育着
海外旅行をするとき
往きの成田空港は早くも匂いが外国で、
到着の成田空港はすっかり日本の匂いですね。
すべての境い目は、自分しだいで相対的。ひどく曖昧です。
入社して11年ほど配属先の名古屋でコピー書いてた僕は、
自分の中に「東京の広告」というジャンルを勝手にこしらえて
憧れたり、噛みついたり、頬ずりしたり、唾をたらしたりしていました。
異動して東京で仕事するようになってからは
そういう感傷的な分類はもちろん消えていくわけですが、
でも本当は無くなってはいない。
いやむしろ、そういうの必要としてる気がします、最近。
転校生が、色もデザインも生地も一人だけ違う体育着で
みんなと同じ前転運動とかしている。
うまく言えないけど、そういう居心地の悪さを忘れたら勿体ないかもしれない。
転職した訳でもない僕ですが、だからこそ、そう思います。
転校生の体育着は、ところで何故あそこまで恥ずかしいのか。
ところが多数派の体育着ときたら、
どんなに哀しいストライプが縫い付けられていようが
どんなに大きくてヘンな襟が主張していようが
どんなに鮮やかなえんじ色のブルマーであろうが
どんなに腿のうしろの毛が縮れていようが
まったく平気。理由はいらないメジャーさがある。
オーラが、ぜんぜん、違うのです。
でも、ビーバップハイスクールの宿敵校の水色の詰襟だって
彼らサイドから言わせれば、多分そういうことなんだろう。
何がそういうことなのか、言おうとしたことが完全によれてきている。
つまり、いま居心地がよくて、自分はラクするのが好きで、
だから仕事をとりまく全てのことに
慣れるな。
ということでした。
新しい刺激を受けとめることに、ちゃんと一生懸命になれ。
そういう礼節を忘れるな、でした。
別にそんなのわざわざコラム使わずに自分に言えばいいのですが、
面と向かうと照れますし。
テレビ番組の力を借りて家族に手紙を読む
「ウチくる!?」の出演者のような気分でした。
一週間お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
さて来週は、僕のとなりの席に繋がれているモンスター、篠原誠くんです。
2010年でいちばんロマンチックな一週間なのに、
街路樹の下で恋人たちが囁きあうXmas Daysなのに、
僕が読みたいという理由で頼んでしまいました。
よろしくお願いします。
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