リレーコラムについて

映画4

小林孝悦

てなかんじで、とにかくニューシネマを中心にあらゆる映画を見まくったわけ。
そんで、ある日ベルイマンの『叫びとささやき』を見たんだ。73年の作品。
スウエーデンのある3姉妹の欺瞞と葛藤を描き、愛、孤独、性、死の断片をえぐりだしながら「生」の意義を問う、濃ゆ〜い作品だ。北欧の映画ってピンとこなかったんだけど、イイかんじです。「家族」というものに対して、あらためて考えさせられちゃいました。『秋のソナタ』もいい。ピアニストの母親と娘の葛藤
を描いた、イングリッドバーグマンの遺作です。

で、その時もう一人はまった監督がいた。ブライアン・デ・パルマだ。
『ミッドナイトクロス』
『殺しのドレス』
『ボディダブル』
『スカーフェイス』
『アンタッチャブル』
『ミッションインポッシブル』
・・・・・と、このほかいろんな作品を残している作家です。

この監督は、じつはすんごいマニアックなひと。ヒッチコックの映像表現を継承しているって言うだけで、想像つくと思うけど。
デ・パルマは、低予算マニアック作品を撮りたいために、『アンタッチャブル』『ミッションインポッシブル』というような商業映画を請け負うような人。しかも大ヒットさせて、アカデミーまで取っちゃう力量をもつ。この点がアカデミー狙い見え見えのハンパ監督「ジェームズキャメロン」なんかとは対照的。なんかクリエーターって感じがするんだよね、そこが。
はじめてデ・パルマの作品を見る人は、まず『ミッドナイトクロス』がオススメ。
ジョントラボルタ主演のB級映画録音マンの話。元監督夫人のナンシ−アレンとのラブサスペンスだ。落ちがとってもブラックで、せつない。
この作品はデ・パルマ作品に一貫している「裏切り」というテーマが垣間見られます。
ぼくがデ・パルマに惹かれる点は、人生には付き物の「裏切り」を巧妙に描いているところでしょう、やはり。善悪は別として、この人間の描き方がリアルで面白い。要は、きれいごとじゃないところがペシミストのボクには、たまんないだよね。

というわけで、やっとこれからというところなのですが、そろそろ終了したいと思います。(眠い!)自分の昔話から始まって、いろいろ話が飛んじゃって、すんません。最後に小林が選んだアメリカンニューシネマベスト10の発表で締めくくります。

*アメリカンニューシネマって、評論家によって概念が異なるんで、
僕なりに絞り込んでみました。(67年〜72年)

1)真夜中のカーボーイ

2)泳ぐひと

3)明日に向って撃て!

4)ワイルドバンチ

5)イージーライダー

6)ある戦慄

7)ラストショー

8)バニシングポイント

9)暴力脱獄

10)卒業

こうして並べてにると古臭い作品ばっかだけど、10年前の僕にとってはイケてたんだよねえ。まだ名作はたくさんあります。ひまがあったら、ビデオ借りてみてください。

来週からは、インタービジョンのコピーライター島田浩太郎さんにバトンタッチ で〜〜〜す。(島田さん、頑張ってくださ〜〜い。)

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NO
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