リレーコラムについて

あい

鎌田健作

いつだったか、自分の手の甲が、両手とも
異常に青くなったことがあります。

ある日、会社で、
パソコンを打つ手をふと見ると、
え!? なにこれ? ナンデ?
血管の青よりも、もっと深い色のアザのような青が、
手の甲から手首のところくらいまで広がっていました。

もしかして、病気!?
なんだかすごく怖くなってきて、
やらなきゃいけない仕事があるのに、仕事も手につかず。

便所へいって、洗面所で鏡を見つめる・・・。
「そういえば、さいきん、なんだか体の調子が悪い感じもあったしなぁ」
鏡に映る顔も、心なしか青ざめていて、
くちびるも、もともと紫色で汚い色なんだけど、
いつも以上に汚い色をしているようにも見えました。

「手の甲 青 病気」そんな単語を並べてグーグルで検索したりもしました。
むずしい病名がたくさん出てきて、どれも当てはまるような、
どれも当てはまらないような・・・いまいちよくわからん。

ちょっと病院、行ってみようかな、とヨメに連絡を入れました。

それから何時間か会社で仮眠をとりました。
起きて小便をしに便所へ行き、こんどは鏡で顔を見ずに、手を洗う。

「ん?」

自分の両手から、青く染まった水が流れていくんです。
で、いつものようにズボンで手をふくと、また手が青くなっている。

「あ!コレ、藍染のズボンだった!」

バカか、と思いました。

仕事が手につかず、
代わりに手についていたのは、
藍染のズボンの「藍」でした。

その日は、
家に帰って、ヨメとビールで
カンパイ!しました。

ハッケヨイ制作所
鎌田健作

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