リレーコラムについて

室井友希

私は声が通りません。
フォントにするとおそらく3ptくらいでしょう。
なので飲み会やパーティーみたいな場所がとても苦手です。
つねに相当いいことを言っているのに誰も聞きとってくれません。

どのくらい声が通らないかといえば、こんな事がありました。
高校の物理で、「音波」について勉強していた時のこと。
その日は、オシロスコープ(心電図みたいに波形が見える機械)にマイクをつなげて、
そのマイクにむかってしゃべってみようという実験でした。

で、出席番号がとなりの子と2人1組になって交互にマイクにしゃべることになりました。
まずペアを組んだ相手の子からしゃべります。

「あーーー!!!!!!」

その子が元気よく叫ぶと、声に合わせてオシロスコープに元気のいいギザギザの波形が。
つづいて私も

「あーーー!!!!!!」

と言ったつもりだったのですが、なぜか機械は無反応。まったく波がおこりません。
いくら声が通らないからって、またまた・・・
と思いましたが何度やっても同じ結果。
そんなピクリともしない一本の青白い線を見ていると、
完全にご臨終の心電図のイメージとシンクロして、
いままで自分は生きてると思ってたけど、ひょっとして勘違いなのだろうか、と思いました。

妹とふたりでハンバーグ屋に行ったときも。
同じメニューを注文したのですが、なぜか妹のお皿にだけ付け合わせのコーンの姿がありません。
ハンバーグともやしだけの妹の皿を見て「気の毒に」と思った私は、
「すいませーん」と店員さんを呼びました。
しかし店員さんは聞こえない様子。そんなことは声の通らない私には慣れっこなのでまた呼びます。
「すいませーん」
しかし無反応。それを見かねて妹が
「すいませんコーンないんですけど」と言うと、
あわてて店員さんはコーンを持ってきてくれました。
やれやれと思いながら、
「ほんと私って声通らないよね。」と妹に笑顔で話しかけると、
その声すら通っておらず、すでに妹はハンバーグを食べていました。

はじめまして、昨年新人賞をいただいた室井友希といいます。
電通でADとCMプランナーをやっています。
好きなものは銭湯と食品サンプルです。
リレーコラムを引き継いでくださった中里さんにはよく色ペンを貸したりします。
あのリレーコラムに自分が書くなんて、と緊張しています。
どなたか、私と同じくらい声が通らない人がいたらうれしいです。
一週間よろしくおねがいいたします。

室井友希の過去のコラム一覧

4424 2018.03.17 永代橋
4425 2018.03.17 お賽銭
4426 2018.03.17 天狗
4423 2018.03.14 もんじゃ焼き
4422 2018.03.12 ハンバーグ
NO
年月日
名前
5726 2024.07.26 麻生哲朗 このターンのアンカー
5725 2024.07.25 麻生哲朗 形のない絵本
5724 2024.07.24 麻生哲朗 汽水域
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5723 2024.07.21 権八成裕 俺、実は、CM一個考えたんだよ 〜あやしいバイト・後編〜
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