リレーコラムについて

お賽銭

室井友希

今年のお正月、
私は京都で夫とお寺や神社を巡りながら、御朱印をいただいていました。
帰りの新幹線の時間まであとわずかという頃、
ここが最後の神社かなと足を運んだのが
祇園にある京都えびす神社というところでした。
ここは商売繁盛の神様だそうで、
鳥居の上の方にはえびす様の顔のついた熊手のようなものが
手のひらを天に向ける形で取り付けられていました。
参拝に来た人は下からこの熊手めがけてお金を投げて、
うまく入れられると縁起がいいのだそうです。

さっそく私もと思いお財布の中をのぞいてみると、
100円玉1枚と、1円玉1枚だけ入っていました。
「まあ、あれだけ高い場所を狙わないといけないのだからちょっともったいないけど、
 ある程度重さのある100円のほうがいいだろう」
と思っていると、夫が横から「小銭がないから貸してくれ」と言って来たので、
迷わず1円を渡しました。

いざ100円を放ってみると、思った以上に熊手の位置は高く小さく、
かすりもせずに地面へ落ちました。
夫もこの難易度の中、まして軽い1円玉では簡単には入らず苦戦していました。
周りの参拝客の人達も同じで、
とあるご婦人などはあまりの難しさのため熊手に集中しすぎて、
隣にいた男性の持っていた正月用の稲穂つきのお飾りを
アンダースローで思い切り殴ってしまい、お米が飛び散るという一幕もありました。

その時「入った!」という夫の声が聞こえました。
よく入ったね!と私が言うと
「ポケット探ったら50円玉あったから1円やめてそっちでやってみた」
ということでした。
よし私も入れるぞと気を取り直して100円を投げると、熊手にはじかれて地面に落ちました。
そのままコロコロと転がり排水溝の中へ消えました。
夫が使わなかった1円はまだ返ってきません。

室井友希の過去のコラム一覧

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4425 2018.03.17 お賽銭
4426 2018.03.17 天狗
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NO
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