リレーコラムについて

金を払う人が、エライ。

岡林和也

恵比寿のとあるマンションの一階に、BARがある。
店に入ると、左手に15人ほどが座れるカウンターと、
右手には5・6人が座れるテーブルが二つある。

レコードが約2500枚。アンティークの高価なレコードプレイヤーが2台。
マッキントッシュの真空管アンプと、
TANNOYの1960年前後の巨大なスピーカーがカウンターの後ろに鎮座している。
あらゆるジャンルの音楽を流しているが、このアンプ、
もともとはクラシック用だったそうだ。

音楽好きだけが集まるかといえば、そんなことはなく、一元さんも多い。
僕も3年ほど通い続けている。いわゆる、常連ってやつだ。

この店が、ほかの店と唯一違う点は、そのルールにある。

●拍手(かしわで)禁止
●ケータイ(メールはOK)禁止
●過剰な大声禁止
●奇声禁止
●リクエスト禁止
●多人数禁止
●洒落たカクテル禁止(やってない)
●男女の濃厚な絡み禁止
etc…

いろいろと禁止事項があるから
はじめて来店して騒ぐやつはだいたい怒鳴られる。

「うるせぇぇぇぇ!!!!」
店中に響き渡る声で、怒鳴られる。

すると、
「謝る」。これは、いい。
「反抗する」。これは、100%言い合いになる。

ここの店主は絶対に引かない。だから、言い合いになると
「表に出ろ!」という展開になる。

ところが、外でマジな喧嘩に発展することはない。
マスター曰く、「表に出ろ!という奴ほど、実際に出ると喧嘩をしない」そうだ。

外でマスターはどんな話をしているか。とてもシンプルである。
「うちは、そういうルールの店だ。それがやなら帰れ。
もしわかってくれたなら、飲んでけ。」

それだけだそうだ。
大抵の客は「金を払ってるのはこっちだ。」と食い下がる。
が、「だから、うちはそういうルールだといってるだろうが。
それに、客はお前だけじゃない。ほかの客の迷惑も考えろ!」

一度、怒られてファンになり通っている人も多い。
ちなみに、僕は、まだ怒られたことはない。

文面だけ読むと、とんでもない店だと思うかもしれないが、
店はいつも満員だ。15坪ほどあるから、それなりに客の声も大きく
そこにマスターのセレクトした音楽が絶妙に溶け合って、
とても居心地のいい空間をつくっている。

ちなみに、ここのハイボールは絶品。
サントリーの「角」をソーダと同じ温度で冷やす。
それを冷えたグラスに注ぎ、レモンのピールをさっと上からふる。
いわば、氷を使わないハイボ-ル。

もし、恵比寿に立ち寄ることがあったら、ぜひ。
タイミングがよければ、マスターの怒鳴り声が聞けます(笑

店を知りたい人は、メールください。こっそり教えます。
あ、ちなみにTCCの先輩方もちらほら。
たまに、隣り合わせてコピーの話になることもあったり。
出会いも、BARの楽しみの一つです。
okabayashi@frontage.jp

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