リレーコラムについて

恐怖の御三家

清水清春

以前テレビで「日本一まずいラーメン屋」が紹介されてました。
当然日本一まずいので店は開店休業状態だったのですが、
テレビで放送されたあと、客足が伸びたそうです。
日本一まずいと言われると、逆にどれだけまずいのか確かめたくなる
「まずいもの食いたさ」感が刺激されるのでしょう。
僕も店が近所だったら絶対に行ってると思います。1回は。

さて、昨日に引き続き神戸時代のお話です。
神戸はファッションとグルメの街。おいしいお店がたくさんあります。
たとえば三宮高架下の「皆様食堂」。
昔からあるカウンターの定食屋さんで、昼ごはんを食べに行くと
どこから湧いてきたか、ええ感じのおっさん連中が昼間からうまそうに
ビールやらコップ酒を酌み交わしていて、思わず瓶ビールを
頼みそうになる自分を押さえるのに苦労します。
湯飲み茶碗は、ふちのところが白くて紺地に白の水玉が抜いてあるやつ。
味噌汁のお椀も塗物じゃなくてご飯茶碗みたいな陶器です。昔よくありました。
注文すると、店の大将がなにやら奥の壁に向かってしゃべってます。
何をしとるねんとよく見てみると、壁に大きな穴が開いていて、
そこに向かってわちゃわちゃ言ってます。
なんとS字型のパイプが潜望鏡のように2階につながっていて、
上の厨房にオーダーを伝えているのでした。
神戸って、おしゃれな街です。

で、神戸支社の連中が入り浸っていたお店がありまして。
その名も「どん底」。
三宮センター街の地下のドンつき、まさにどん底にある、古びたバーです。
時代を感じる木のドアを開けると中は意外に広くて、
カウンターに加えてボックス席が10はあるでしょうか。
むか―しの喫茶店さながらで、実際昼間は弁当とか持ち込みOKで
飲み物さえ注文すれば何時間でも居座れました。
ここのバータイムがまたすばらしい。
取っ手がついたドデカサイズの角瓶を1万円でキープしておけば、
あとは水割りだろうがソーダ割りだろうがいつでも1000円ほどで飲み放題状態。
フードは乾きもの程度ですが、お隣の赤萬からギョーザの出前が頼めます。
神戸支社開設当初、大人の事情でなかなか営業活動ができなかった時、
5時半になるやいなやここに集まって、営業作戦会議という名の
ぼやき大会が夜な夜な繰り広げられていました。
「これがほんまのどん底や!」とわめきながら。
神戸って、とってもおしゃれな街です。

その「どん底」に通っていたある日、
「もっとすごい店があるらしいで」との情報が入りました。
その名は「どろ舟」。
どうもスタッフ全員がパートのおばちゃんという居酒屋らしい。
冒頭に話した「まずいもの食いたさ」というか、
「やばいとこ行きたさ」感が募ります。
「ほんまに沈んでしもたらどないしょ。むふふ」などど思いつつ、
CDの山本君と恐る恐る行ってみることに。
店に入ってみると、まったくもって普通の居酒屋でした。
ただ、おばちゃんの化粧がやけに濃いだけで。
おでんとか料理もそこそこで、拍子抜けして飲んでいると、
突然おばちゃんが眉をひそめて僕たちに言いました。
「にいちゃんら、もうひとつ、すごい店があるの知ってるか?」
「さあ・・・、それってなんて言うとこですか?」
「火の車」。

神戸って、ほんとにおしゃれな街です。

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