リレーコラムについて

チュパチュパ

篠原誠

「やっぱり、映画っていいなぁ。」
という感想を言いたくて、映画を昨日見に行ったのですが、
まあ、小さい小さい試写室?みたいな映画館に
行ったのですが、すごかったですね。

映画じゃなくて、隣のカップルが。

一番後のラインに陣取ったのは、僕と一組のカップル。
30代前半のサラリーマンと20代中頃ぐらいのOL。
明かりが暗くなる前から、
チュッチュチュチュチュしてるよ麦畑〜♪
その上、男の手は、彼女の首筋から背中、
回り込んで脇というか、さらに回りこんで胸というか、
そして、あげくはお尻をムンズッですもん。

そのとき、ふと考えたのですが、
やっぱり日本はいいですね。こんな日本が大好きです。ってこと。

丁度昼間に、松岡正剛氏の講演をきいていた時も
思ったんですが、講演の内容は結構、僕には、
難解な部分がおおかったのだけれども、
前半で言われてたことに、深く同感したのです。

それはなにかというと、なんというか、
何故そうなのか、わからないのに、日本は
すごい勢いである方向に進んでいるということ。
いや、その方向すら特定はできていない。
もう、見えざる手に、すべてはゆだねられている。
そんなカンジだという話。

たとえば、時価会計制度に企業がなったけど、
どうして、そうならなければいけないか、
ほとんどわからないまま、なっていたり、
コンプライアンス重視とか、いったいどうして
そうなってしまったのかわからないまま、
それが正しい方向として叫ばれている。

グローバルスタンダードと言う名の、
正解かどうか誰もわからないことを正解のように、
みんな思って突き進んでる。
標準化がすすんでいる。
文化や歴史など、
そこには関係ないかのように。
これは、一体なんなんだろう。
もっともっと日本オリジナルを大事にしても
いいのではないだろうか。戦争に負けたからだろうか。
いや違う。もっと、違う何かのせいで、
日本は、どんどん流れているのではないだろうか。
僕は、日本が好きだ。愛国心だってある。

こんなことを書くとすぐにナショナリズムとか、
ちょっと、ちょっと、何危険な発言してるのとかに
なってしまう。
「自分の生まれ育った国が好き」と言うだけで、
なんかタブーなことを言っているような雰囲気が、
生まれる。そのこと自体が、異常事態だ。
日本がすごいとか、日本が一番だとか、
そういう話じゃない。日本が好き、ただそれだけだ。

日本でワールドカップが開催されたとき、
ベッカム!!!!と言って、
たくさん人が髪型までマネて、イングランドを応援した。
カメルーンだったか、アフリカのチームが滞在していた町は、
お婆ちゃんまで、派手なその国カラーの帽子をかぶって
日本を応援するのと同じくらいの勢いで、カメルーンを
応援していた。外国人記者は、びっくりしたそうだ。
でも、そんな、日本人が、文化が僕は好きだ。

小泉チルドレンを生み出すほどミーハーで、
でも、基本は、わびさび、今で言う萌え〜が
なんとなく理解できる、そんなディテール主義で、
その割に、多摩川のタマちゃん、レッサーパンダの風太くん、
政党をどんどん渡り歩く国会議員、郵政民営化などなど
時がすぎれば、速効でどんどん忘れていく、そんな国民性。
そんなのもひっくるめて、全部好きだ。
すごいオリジナリティだ。

スシはおいしいし、天ぷらだって、みそ汁だって、
カップラーメンだって、べらぼうにおいしいし、
夜道歩いていても、そんなに恐怖を感じない。
そんな日本が大好き。
だからこそ、これからも日本しか生み出せないものを、
日本っぽいものではなくて、日本風味じゃなくて、
日本、そのものが生まれだして欲しい。
そのために何ができるか、僕にははっきりとはわからないけど、
日本に誇りを持ち、そして守りながら変化していきたい。

隣のカップルよ、わかるかい?この気持ち。
こんなことを書きながら、僕もわからんよ。
憲法を変えることがなんなのか、
自衛隊を派遣することがなんなのか、
9.11の後、どういう行動をとるのが正解だったのか、
民主党と自民党の違いがなんなのか、
拉致問題がどうすれば解決するのか、
どうやったら、国の赤字が減るのか、
どうしたら、子ども達に住みやすい日本を残せるのか…。

チュパチュパチュパチュッパ…

カップルが、音をさせているよ。
これは映画の効果音ではないよね。
ラブストーリーじゃないものね。
今日は、二本立てのつもりで、映画を楽しむよ。
ただ、本番行為は御法度だぜ。
彼女、それ以上、彼に乗っかるなよ。
映画に背中を向けちゃいけないぜ。
でも、きっと、二人も日本が好きなんだろ。そうだろ。

そんな優しい気持ちで、映画を見ておりました、二本立てで。
本当の映画が終わった後、しばし、二人の映画を
凝視しておりました。

男性と目が合いましたので、僕ができる最高の微笑みを
与えました。ヨンさまレベルの微笑みを。過去の経験上、
こんな場合の、相手の出方は大きくは2種類。

1・「何みてんだよ」とすごんでくる。
2・「おい、変な奴が見てる」と彼女に言って立ち去る

その男性が選んだのは、そのどちらでもありませんでした。
僕の微笑みに対して、微笑み返しをしてくれました。
そうなのですね、これは、プレイなのですね。
てっきりプレイヤーは二人だと思っていたのに、
僕を含めた3人がプレイヤーだったのですね。
このディテール主義。日本ほど、風俗の種類が細かく分類
されている国はないそうです。

やっぱり日本が大好きだ。日本は、浅くて深くて、
そして、やさしい。

教訓
「映画館の最終ラインは、ウタマローゼス実施中。」

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