リレーコラムについて

2000年の14歳たちへ

澁江俊一

6年前に14歳だった人たちに
僕は愛情にも近い親近感をもっています。
西暦2000年の1年間で日本の14歳について考えた
合計時間を競うコンテストがあったら僕は
ベスト3には入るでしょう。

当時僕は映画会社の宣伝部にいて
深作欣二監督の「バトルロワイアル」のクリエイティブを担当し
コピーを書きながら予告篇をつくったりポスターをつくったり
オフィシャルサイトを企画したりしていました。
14歳の子どもたちが殺しあうという内容が
刺激的だったため、公開前から様々な論争を巻き起こしました。
その火付け役として僕はあの手この手で騒動を盛り上げました。

映画は完成し、映倫の審査の結果R-15指定になりました。
R-○○という呼称もこの映画をきっかけに有名になりました。
15歳以下は観るべきではないという業界の自主規制に対し僕たちは
今は亡き深作欣二監督と一緒になって14歳の人たちに向かって
君たちこそこの映画を観るべきだとアピールしました。
確かにかなり刺激は強いけど、この映画を最後まで観た14歳は
凶悪な犯罪なんて起こさないはずだと信じたのです。

公開中、僕はずっとドキドキしていました。
どの映画館も満員になったことに対してではなく
万が一映画を見た14歳の誰かが事件を起こしたりするのでは?
とドキドキしていたのです(ごめんなさい、僕は君たちを疑っていました)。

オフィシャルサイトやあちこちの掲示板には
日本中の14歳たちが自分なりに知恵を絞って映画館の規制をくぐりぬけ
BRを観た!!という興奮気味の書き込みを寄せていました。
そして公開中には、映画が打ち切られるほどの事件は起こりませんでした。

刺激の強い映画やゲームが少年少女に与える影響は
確かにあるのかもしれないけど、その刺激を味わっても
ちゃんと想像力を働かせて現実的に生きていける圧倒的大多数の
存在を忘れちゃいけない、ということを僕は彼らに教わった気がしました。

あの頃の14歳は今年20歳になっています。
コピーライターを目指している人もいるかもしれません。
僕はこの先も君たちを一方的に応援しつづけるつもりです。

澁江俊一の過去のコラム一覧

2934 2011.04.23 さよならH・i
2933 2011.04.22 1文字の奇跡
2932 2011.04.21 負の鎖
2931 2011.04.20 朝を買う
2930 2011.04.19 目を覚ませ
NO
年月日
名前
5815 2024.12.06 山田大輝 ジェノベーゼ
5814 2024.12.05 山田大輝 センサー
5813 2024.12.04 山田大輝 嬉野
5812 2024.12.03 山田大輝 祖父の葬儀
5811 2024.12.02 山田大輝 なおたろう
  • 年  月から   年  月まで