リレーコラムについて

よっしーお見合い大作戦? 〜 なんだチミは 篇 〜

芳谷兼昌

僕たちはテーブルについた。
残念ながら景色のいい窓側には座れなかった。

「コースでいいですか?」

「はい、お任せします」

ウエイトレスに顔を向けると、
待ってましたとばかりに、
ニヤニヤしながら近づいてきた。

「本日はようこそいらっしゃいました」

「コースをふたつください」

「はい、コースはサラダが、
 ペラペラペラペラペラペラペラペラ・・・・・
 のサラダになります」

?

??

???

「あ、はい」

「メインはですね、
 子羊のペラペラペラペラペラペラ・・・・・と、
 イサキのペラペラペラペラペラペラ・・・・・と、
 タイのペラペラペラペラペラペラ・・・・・から
 一品お選びいただけます」

?

??

???

「もう一度、最初からいいですか?」

「あ、はい」

「子羊のペラペラペラペラペラペラ・・・・・」

「ストップ!ストップ!ストップ!」
 早すぎて、
 何を言ってるかわかりませんよ」

なんとかオーダーを終了して会話を再スタート。
おいしい料理に舌鼓を打ちながら、
お互いの仕事のことや、普段の生活について話をした。
うつむいた顔が松嶋菜々子に似ていると思った。
顔を上げると、あ、似てないと思った。
下を向くと、やっぱり似ていると思った。
また顔を上げたとき、ずっと下を向いていてほしいと思った。
その話をオカンにしたら、
「あんた、ヒドイこと言うなぁ」と、
思う存分笑ったあとに言った。

メインをたいらげて、僕はトイレに立った。

席に戻るとキャサリンが顔を向けた。

「ウエイトレスの彼女が話しかけてきたんです。
 どーゆー関係なんですか?って」

「へぇ、失礼なこと聞いてくるもんだね。
 お見合いって答えたの?」

「いいえ、東京の人って言いました」

「あ、そう」

キャサリンさん、
答えになってませんからね。

彼女はアイスラテ、
僕はエスプレッソのダブルをオーダーするために、
ウエイトレスを探した。
今度はさっきのニコニコとは違い、
何かを含んだ笑顔だった。
注文を終えると話しかけてきた。

「東京の方なんですよね?
 うらやましいです」

「大阪の人なんでしょ?
 うらやましいです」

「ケラケラケラケラ・・・・・・
 東京の方がいいやないですかぁ」

「大阪も捨てたもんじゃないやんか」

「そうですかぁぁぁ、
 ケラケラケラケラ・・・・・・」

ウエイトレスの彼女、聞けばハタチと言う。
箸が転がっただけでもおかしく笑える年頃だ。

「今日はデートですか?」

「僕たち不倫なんです」

「えー、ホントですかぁぁぁぁ?
 ケラケラケラケラ・・・・・・」

ウソや。

ウエイトレスが立ち去った後、
キャサリンに顔を向け背筋を伸ばした。

「お見合いの返事なんですけどね」

次回、最終回につづく

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年月日
名前
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