リレーコラムについて

福岡にて

髙崎卓馬

正月に福岡の実家に帰った。
祖母にすこし痴呆が始まってた。
親父(彼女の息子)を殺人犯だと思い込んでしまっていたのだ。
何かのニュースで同じ名前の犯人がいたのが原因かも、と家族が言ってたけど。
でもまあうちの家族は全体としてたいしたもので
まあそれはそれとしてうけとめていた(うけながしていた)。
自分が受け流されている空気はなんとなくわかるみたいで
祖母は新しいターゲットの僕の顔をみると、
こっそりよびつけて
「たくちゃん、あのひとはどうして捕まってないの?」
と相談してきた。親父はもう否定も肯定もせずに外を見てた。
他の家族は満足いく答えをくれなかったからだろう。
あんまりしつこいんで僕は
「僕が保釈金だしたんだよ」と嘘をついた。
すると祖母の顔がほんとうに嬉しそうにほころんで
「ありがとうありがとう」ってすごく幸せなかおして喜んでくれた。
あんまり喜ぶので、なんか本当に親孝行したような錯覚を覚えた。
おれってなかなかいい息子じゃん。
機転のきいた答えもできるし。

でも、
5分もするとまた
「あのひとはどうして捕まってないの?」

ううむ。
みんなが受け流してる理由がわかった。

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