リレーコラムについて

こんなコピーライターもいるんだなあ、名古屋に。

尾崎敬久

こんなコピーライターもいるんだなあ、名古屋に。
それは僕のことです。

20歳のあのころ、
僕はリクルートでヒーヒー言っていました。

初出社の日。
10人くらいの制作チームに配属された僕は、
直属の上司にあたる女性チーフから
「ここは尾崎くん以外、みんな女の子だから、よろしくね」
と告げられました。
心の中でガッツポーズしたことは言うまでもありません。

ですが。
みんな、キッツイのなんの。
仕事も、ムツカシイのなんの。
僕はブルー系からの転職でしたから、
机の上で何かを書いたり、電話応対したり、打ち合わせしたり、
その一つひとつがまるでダメ。
ホントに何にもできない人間だったのです。
よく叱られたし、よくバカにされたし、よく呆れられた。

入社半年くらいのとき、先輩から
「ちょっとコピー見せてよ」と言われて、
恐る恐る見せました。
しばらくの沈黙の後、
「いいかげん、成長してよね」と
突き返されました。

辞めたい。辞めてやる。コピーが好きで始めた仕事じゃない。
言い訳だらけの毎日でした。

でも、また尻を巻いて逃げるのか?
じゃ、次は何をやるっていうんだ?
そんなんでいいのか、俺?
明確な答えが出せないまま、
とにかく目先の仕事だけをこなしていきました。

「社内コンテストで入賞したら辞めよう」

僕は自分自身に目標とゴールを設定しました。
小さくてもいいから、何か足跡を残して辞めようと。
それなら自分で自分を許せるんじゃないかと。
その後のことは、その時に考えよう、と。

コピーというものに真剣に向き合う毎日が、ようやく始まりました。
考える。聞く。見る。盗む。そしてとにかく、書く。
やればやるほど、底なしの世界でした。

結果しばらくして、僕は社内のコンテストで入賞するのですが、
そのころにはコピーが面白くなってきていたし、
もっと上に行きたいという欲もでてきました。
人間なんて、勝手なもんで、単純です。

その後も当然、いろんな波や壁が現れて悩んだりするのですが、
25歳のときには「コピー(広告)でやっていくんだ」と腹をくくりました。

その数年後にTCC新人賞をいただき、
よーし、リクルートを卒業するぞ、と。
9年8ヶ月に及ぶリクルートでのアルバイター生活にピリオドを打つ決心をしたとき、
僕は29歳になっていました。

とりあえずこの話、次回の最終回に続けてみようかと思います。
(つづくのか?)

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