リレーコラムについて

紀元前後と絶品そうめん(2003年)

碓井智

午前3時に、ひとり、会社で、しこしこ、コピーを書い

てて、やっと終わったと思った瞬間、どうしても、ビー

ルがのみたくなる。今からひとりなんですが、いいでし

ょうか、と聞くと、やってるよぉ〜、という機嫌のよい

マスターの声。15分ほどとぼとぼ歩いて、薄暗い階段

をトントントンとおりる。もう誰もいないかなと、扉を

開くと、壁にしみこむように鳴っているジャズの音。つ

めたいおしぼりで顔をふき、冷えたビール、とつきだし

の、絶品そうめん、にのどをならす。一気にグラスをあ

けると、ソーダ割り?、のマスターの声。3杯くらい飲

んで、気分がひょろひょろになってきた頃に、こう思う。

ああ、コピーライターも悪くないな。

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で、話は、ちょっと前に戻って、前回のつづき。

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コピーライターは、もういいよ。

と思っている、コピーライターにまともな仕事もくるは

ずもなく、子どもももうすぐ生まれるというのに、こん

なんでいいのだろうか、と思いつつ、とりあえず、健康

のためにジョギングしたり、あいかわらずマッキンゼー

とかコンサルティングとかの本を読んでへぇ〜、とか呑

気に生きていました。

そうこうしてると、異動の話がきて、すわ、営業か、と

思ったら、局内でした。新しい部長に、どうしたい?と

聞かれ、こうしたい!と(なにをいったかおぼえてない

んですが、たぶん、明確にこうしたいというものが、な

かったんじゃなかろうか)いうと、それなら、はやいと

こ賞をとった方がいいよ、という。非常にシンプルな話

でした。といって、なにも、秘策があるわけじゃないん

ですが、まあ、ここ一、二年で結果がでなかったら、ほ

んとコピーライターなんて、やめようと思ってましたか

ら、なんにしても、ちょっとやってみようかと。

異動してすぐ娘が生まれて、そのちょっと前に、子供服

のミキハウスさんを担当することになり、2ヶ月くらい

して書いた新聞広告のコピーが、運良く、TCCの新人賞

をとることができました。「褒められた服のことを子供

は案外おぼえている。」というコピーです。それまでの

経緯とこの結果に、何か関係があるのかどうかといわれ

ると、よくわからないのですが、でも、なにか自分のな

かでも変化はいろいろとおきていたのだと思います。

『コピー年鑑2003』で、やっと、自分の書いたコピー

をのせることができました。2002年までは、紀元前。

僕のTCC紀元は、2003年です。秋山さんにいただいた

コトバも、一倉さんにいただいたコトバも、ほんとに

ありがたいコトバでした。その後の、もうキツイけど

もうちょっとがんばろうかな、と思える、メルクマー

ルになりました。娘は2才になりました。最近は、朝

いっしょにシャワーをあびるのが、日課です。

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冒頭の、お店が、僕が年鑑のコメントに書いた「ジャ

ズとお酒のブリックス」です。

NO
年月日
名前
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