リレーコラムについて

一発目 「傘」

佐倉康彦

雨、けっこう好きなんだなこれが。
窓辺で雨音に耳を傾けながら、
ひとり物想いに耽るとか、そういった理由では、勿論ない。
無条件に雨って良いなぁと思う。
小糠雨、煙雨、俄雨、夕立、驟雨、暴風雨、霧雨、地雨。
「狐の嫁入り」とか「遣らずの雨」、なんてのもある。
どんな雨もダイジョーブ。どれも平等に好きかな。
その降り方とかシュチエーションによって、
こちらが抱く気分は微妙に区々ではあるけれど、
いたっておおむね前向きな感じでいられる。
この時期なら長雨。
これも、わりとイケるほう。
いつまでも陰気にウダウダと降り続くと世間は感じるヤツ。
で、自分の回りのヤツらを眺めると、
なんだか空模様よりも陰鬱な表情になっていたりして。
そっちの方がよっぽど鬱陶しい。
そんな長雨が降り続く毎日の、
なんつーか全体的に弛緩したようなヌルい空気が、
逆に自分の気持ちを「きゅっ」と
引き締めてくれるような気がする。
だから好きなのかも。
ただ、ひとつだけ雨とセットになってるモノがあって、
そいつのことはかなり苦手。
傘ってやつ。
個人的には、とにかく邪魔、いらない。
ケンカしてるときになんて持ってると、
得物になったりもして
人を傷つけるおそれもあってアブない。
これって傘本人の責任ではない。
あくまでも個人的な資質のモンダイではあるんだけれど。
それに、この街で雨に濡れずに移動することなんて
そんなに難しいことじゃないし
雨が降ったら濡れればいいでしょ。
濡れるってけっこう気持ちも良いし。

「雨は好きだけど、傘はキライ」
こーゆー性格が災いして、よく世間に誤解をされるけれど
まあ、それはそれ。

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