リレーコラムについて

第四話:ライスワークかライフワークか

髙澤峰之

いま、誰かが私に向かって、
「仕事をとるか家族をとるか、どちらかひとつを選べ」
と迫ってきたら、私は迷わず家族をとるでしょう。
人間、どんな仕事をやっても食っていける。
いざという時、自分が生きていくうえでのヨリドコロは、
家族であり友人であり、つまりは身内の人間ぢゃ、と
この、仕事がままなりにくい時代においてすら(だからこそ?)
そう考えている私です。

でも実際には、そんな二者択一を迫る”誰か”も
会社事情もまったく無いようなので、まだまだ私は、
いまのコピーライターの仕事を続けていけます。
しかも、いままでよりももう少し、というか、
“もっと”本腰を入れて、仕事を続けていこうという気に
なっています。

お恥ずかしい話ながら、いまより少し以前の私は、
仕事と趣味どっちをとるかという事態に面したとき、
つい趣味(遊び)の方をとってしまっていた人間でした。
具体的にいうと、週末の休日に仕事打ち合わせが入りそうな
とき、なんとかそれを逃げて、ライブをしたり・観に行って
いたり、拳法の合宿に行ったり、スキーに行ったり、
焼き肉を食べに行ったり、なんてことを
しばしばしていたものです。

最近は少し改心して、仕事頑張ろうモードになってきました。
頑張ると仕事の企画ももう少しキレのよいものが
生まれてくるでしょうから。っていままでも
キレのよいモノ作りを目指してはきたんですが、ね。

逆に言うと、この仕事は、
それ相応に集中して仕事しないと、結果は出てこない。
そんな当たり前の教訓めいた結論に行き着きます。
少なくとも、会社に入って、それなりに作業をして、
それなりにお給料をもらって、それなりに生活すればいいや、
という気持ちではあまり報われないかな、と私は感じています。
(この手のお話、以前にもどなたか書いてましたっけ)

徹夜をすればいい広告ができるか、というと決して
そんなことはないですが、そのへんのこと、つまり
広告作りはサラリーマン就職意識ではやれない、ってことが
よく理解できてなかった新入社員の時代の私は、
学生時代の友人たちがコンパしたり遊んだりしている時に、
深夜一人でしこしこ原稿を書いている自分の境遇に
「なんで俺だけこんなことを…」と
しばしば涙したりしたものでした。
ははは、今思うと恥ずかしい(^^;

広告作りの仕事はライフワークになりうるものか
ということに関しては、いろいろ議論の
分かれるところでしょう。反論とか、異論とか
お持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
とりあえず、私自身に関してはそれなりに、
暮らしの中の時間を割いています。もっとも、
それは単に私が不器用なせいだけかもしれないです。

まあ頑張りすぎて身体を悪くしない範囲で、
それから家族やバンド仲間を無くさない範囲で、
だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっと走っていこうか。
などと思っています。

  # でも、自分の老後計画として、
   60歳すぎてもラテンを続けていたい、とか、
   仕事を引退したら東京ディズニーランドの
   バンドスタッフに採用してもらって余生を送りたい
   (↑可能かどうかは別にして(^^;)とか、
   そんなことを考えている私には、
   広告はライフワークにはなっていないんでしょうか..ね..

21世紀へ向けて自分の仕事スタンスに想いを巡らせつつ、
明日は最終話です。

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