リレーコラムについて

深夜ドラマde眠れない

鶴田茂高

実はここ3年くらい民放のドラマはほとんど見ています。ただ、ゴールデン・プライムのドラマはちょっと食傷気味。

シリーズ的な医療系か刑事ものが大半になって、ちょっと水戸黄門っぽい勧善懲悪なお決まりのストーリーには、もういいっかなぁと思っていますし、大好きだった2時間ドラマも、これだけ監視社会が進化すると犯人あての筋はちょっと厳しいかなぁと感じています。

 

そんな中でハマるのが深夜ドラマ。

どの局も視聴率よりも新しい可能性を追求しようという意欲的なラインナップが多いです。

今回はここ数年の間で夢中になった深夜のドラマ作品を何点かご紹介したいと思います。

 

「神酒クリニックで乾杯を」(2019年1〜3月BSテレ東)

医療事故を起こした青年医師・九十九勝己(三浦貴大)が、会員制バーの内装になった秘密の医療機関「神酒クリニック」に転職。安藤政信演じる院長・神酒章一郎と一癖も二癖もある医療スタッフとともに様々な症例と事情に塗れた患者を、治療しつつ事件や問題を解決していく物語。

モグリの医者?という特殊性に刑事ものの要素を絡ませたアリアリな設定ですが、荒唐無稽なストーリー展開が往年の無国籍サスペンス(「キーハンター」や「Gメン75」、「探偵物語」など)にも通じるエンターテインメント性を発揮してワクワクしました。

もう百恵・友和の次男なんて肩書も不要な三浦貴大の確かな演技と、脇を固めた安藤政信、松本まりか、栁俊太郎、板垣李光人、品川祐、竹中直人たちの芸達者ぶりがゴールデンに負けない輝きを放っていました。

(U-NEXT、Paraviで全話視聴できます)

 

「サレタガワのブルー」(2021年7〜9月TBS)

「読んだら必ず不倫したくなくなるマンガ」としてwebサイトが3億PVを超えたという人気漫画が原作。人気のグラフィックデザイナー田川暢は、新妻・藍子を溺愛していたが、あることがきっかけで彼女が不倫していることを知る。ただ、まったく罪悪感のない藍子の態度に愕然としながら、ついに復讐を決意する、という物語。

仮面ライダービルドの犬飼貴丈がイケメンだけど、気弱で情けないサレタガワの夫を好演。片やシタガワの悪魔的な妻を元乃木坂46の堀未央奈が舌足らずの口調で怪演。いやぁ、最近の女優さんでは松本まりか以上に小悪魔キャラいやマジでやばい奴が似合うキャラ全開で、「浮気じゃないよ、本気だよ」とサラリと言い放つ表情には脱帽。悪女という素晴らしい資産を獲得した彼女のこれからは本当に注目です。

(my theater plusで全話視聴できます)。

 

「きのう何食べた?」(2019年4〜6月テレ東)

現在劇場版も公開中、よしながふみの人気漫画が原作。弁護士・筧史朗(西島秀俊)と美容師・矢吹賢二(内野聖陽)の食生活を中心に中年ゲイカップルの日常をリアルに描いた佳作。

史朗の母親(梶芽衣子)が無理やりゲイを肯定する発言をしたり、買い物仲間・富永佳代子(田中美沙子)家族とあっさり普通の友人関係を気づいていしま うくだりなどナチュラルな演出にも好感が持てました。

最大の発見は、当時まだ無名に近かったジルヴェール航役の磯村勇斗。嫌味たっぷりで底意地の悪い口調で、物事の的を得た否定論をかざす態度にある種の快感を覚えました。いや彼は作品ごとにキャラクターをしっかり変化させられるカメレオン俳優だなぁと感心しています。

(huluで全話視聴できます)

 

他にも深夜ドラマには、グルメ情報としての「孤独のグルメ」シリーズ 「ホメられたい僕の妄想ごはん」「絶メシロード」「女子グルメバーガー部」、思わずキャンプに行きたくなる「ひとりキャンプで食って寝る」「ゆるキャン」、新たなカルチャーを擬似体験させてくれた「お耳に合いましたら。」「八月は夜のバッティングセンターで。」「捨ててよ、安達さん。」「サ道」、荒唐無稽をド直球でエンタメしてくれた「浦安鉄筋家族」「勇者ヨシヒコ」「家政夫のミタゾノ」、いぶし銀の演技が光る「生きるとか死ぬとか父親とか」「バイプレイヤーズ」シリーズ 「dele」、アイドルや若さのその瞬間の輝きを最大限にフィーチャーした「痴情の接吻」「ザ・ハイスクール ヒーローズ」「消えた初恋」「Tokyo Love Story」「いとしのニーナ」「ギヴン」など、ユニークな作品が目白押しです。

 

いずれも予算をはじめ様々な制約の中で、いかに新しい表現を投影するかにこだわっている実験的な内容が多くて、映像の仕事をする時にはとても参考になっています。

年末年始の巣篭もりに、一気見するコンテンツに迷ったら深夜ドラマからのチョイスをオススメしたいと思います。

 

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