次女と救急車をはしごした出来事からの小考察
こんにちは。山中のリレーコラム、締めの投稿になります。
ここまで、あなたの貴重な時間をありがとうございました。
ちょうど一年前、足首にある”距骨”という骨を脱臼骨折しました。
全治半年。まだ、日本で5例しかないという非常に稀な症例だったらしく、
手術の際に、お医者さんが7、8人集まってきて、
下半身麻酔をされている僕に「論文にしても良いか?」と聞いてきたことなど、
機会があればお話ししたいのですが・・・、
今日は、病院へ辿り着くまでの出来事について考えてみます。
僕は、名古屋のクリエイティブに携わる人が集まるチームで、月一バスケをしている。
そこで、リバウンドを取る際に体制を崩して脱臼骨折してしまった。
苦労してバッシュを脱がせた僕の足が「Γ(ガンマ)」みたいに曲がっているのをみて、
すかさず、キャプテンの河野くんが救急車を呼んだ。
担架で運ばれる僕。現場は騒然。
そこに居合わせたのが一緒にバスケに来ていた次女(当時小5)。
置いていくわけにもいかず、河野くんと一緒に救急車に乗り込み病院へ向かう。
車中。たった一人の身内ということもあって、次女に救急隊員からのヒアリングが始まった。
隊員:「お母さん、病院来れる?」
次女:「いま、ぎっくり腰で寝てる」
隊員:「おじいちゃん、おばあちゃんは?」
次女:「三重と栃木にいる」
隊員:「誰か、大人と連絡取れる?」
次女:「あ、お姉ちゃん・・・」
隊員:「お姉ちゃん!!」
次女:「いまインフルエンザ」
まるで、ラジオCMのようなやりとりに、僕はほっこり。足の痛みも和らいだ。
対照的に、絶望に変わっていく救急隊員と河野くんの顔。
立ち会える身内問題は解決しないまま、救急車は”一軒目”の病院に到着した。
ストレッチャーで処置室へと運ばれる僕に、熊のような体格の医師が話しかけてくる。
医師:「できるだけ、力でやってみます」
僕:「ち、ちからとは?パワーですか?」
痛みで意味のわからないことを口走る僕に医師は宣言した。
医師:「痛いですよ。覚悟してください。」
医師は並外れた腕力で、外れた関節を元に戻そうとしていた。
それから5分くらいだったのか、あるいは30分は経過したのだろうか。
僕の悲鳴を気にもかけず、僕の足をひとしきり全力で引っ張ったり、叩いたりしていた医師は、
諦めたように看護師に言った。
「無理だ。救急車呼んで」
待合室に響き渡る僕の悲鳴を、並んでじっと耐えてくれていた次女と河野くん。
そこに着いた救急車に、また僕が乗せられていくことに驚きを隠せない様子だったが、
いっしょに、本日2度目の救急車で”2軒目”の病院へ向かってくれた。
到着するや否や、再度撮影したレントゲン写真を見つめながら、首をひねる医師たち。
「みたこともない脱臼だ」
一軒目の医師からは、聞かなかった言葉だ。
「みたこともない脱臼」になったのは、
一軒目の医師の腕力が関係しているのではないかと思わずにはいられない。
緊急手術となり、次女から連絡を受けた奥さまがぎっくり腰を押して駆けつけ、冒頭の話へとつながる。
そして、1日に2回救急車に乗った話は小学校で披露され、次女の武勇伝となった。
僕は、この出来事から考えます。
脱臼骨折してよかったなと。迷惑をかけてしまったたくさんの方には本当に申し訳ないけれど。
次女の武勇伝ができました。
ぎっくり腰をものともせず、心配してくれる奥さまがいました。
なにより、いっしょにバスケをしている仲間たちの心の優しさに気づけました。
さて、次にリレーコラムのバトンを渡すのは、
次女といっしょに、救急車をはしごしてくれたバスケチームの頼れるキャプテン。
会社の後輩の河野正人くんです。
考えてみたら、前回リレーコラムを担当した時も、河野くんにバトンを渡していました。
仕事でも、プライベートでも、頼りすぎですね。
でも、よろしく。ありがとう。
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