リレーコラムについて

広告の仕事ってやっぱり。

上田浩和

先週金曜日の夜、

日本アカデミー賞の授賞式をテレビで見た。

高崎さんが出ているのではないかと思ったからだけど、

ほんとうに出ていた。

俳優たちにまじって、高崎さんがちょくちょく見切れる。

菅田将暉のつぎに高崎さんが映ったり、

高崎さんのつぎに吉永小百合がつづいたり、

役所広司と高崎さんが並んでいたりして。

文化人か。

永野芽郁がアップのとき、そのむこうに高崎さんがいた。

自分が映っていることを知っているのかどうかはわからなかったが、

高崎さんが手を顔のあたりに持ってきたときは、

一瞬、鼻をほじるのではないかとヒヤリとした。

メガネに触れただけだった。よかった。

そして今日、高崎さんは、

本場アメリカのアカデミー賞授賞式に出席しているのかもしれない。

 

広告業界の人が映画の世界で評価されているのを見ると誇らしくなる。

ぼくらが目の前でやっている仕事が、がんばれば、思いがあれば、

この一歩一歩が、レッドカーペットにつながっていくと思うとうれしくなる。

広告の仕事ってやっぱり楽しい。

電通に20年以上いて教えてもらったことは、そのことだったと思う。

 

澤本さんは、

クライアントさんからの戻しにそった案も用意しつつ、

「自分たちがおもしろいと思うものも1、2案提案しようよ」

とどんな状況でも言う。

「もし怒られたら、すみません!って謝ればいいじゃん」

その「謝ればいいじゃん」に、なぜか心が踊る。

 

磯島さんも、

どんな仕事でも手を抜かない。

「この仕事がTCCで評価されるようなことはないけど」

と言いながら、すみずみまでコピーを磨き上げる。

かっこいいですよね。誇りを感じる。

磯島さんが電通のなかで尊敬を集め続ける理由はそこだ。

 

そうなんだよなあ。

広告の仕事のおもしろさって、

おもしろい企画やいいコピーを書くことだけじゃなくて、

たいへんなときでもなお人を喜ばせようとしたり、

諦めなかったりするところにあるんじゃないかなとそう思う。

そしてその先には、レッドカーペットがあるんじゃないかと思うと、

広告の仕事はたいへんだけどやっぱ夢がある。

 

高崎さんは、

今日のアカデミー賞授賞式に出るのだろうか。

レッドカーペットを歩くのだろうか。

もし出るなら、歩くなら、いつどこでカメラに抜かれるか分からないから、

鼻をほじっちゃいけませんよ。

ほじるなら式の後、ホテルの自分の部屋に戻ってからにしてくださいね。

アカデミー賞の授賞式会場の埃を吸い込んだ、

夢みたいにでっかい鼻くそがとれますよ。

 

 

今回のぼくのコラムは終わりです。

結局、2回しか書いていません。すみません。

今度は、小山佳奈さんにバトンを渡そうと思います。

よろしくおねがいします。

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