リレーコラムについて

代理店の外におけるクリエイターという生き方 その3

橋本剛典

代理店の外でクリエイターとして働くメリット・デメリットを自分なりに書いてみるコラム。第3回です。

  1. 腕一本で勝負しなくていい

「包丁一本さらしに巻いて」の歌のように、クリエイターが自らの勘と経験に裏打ちされた画期的な企画と見事なプレゼンテーションで仕事を勝ち取る。自身のキャンペーンアイデアをあらゆるメディアに広げ、自由自在に展開させる。そんな美学に、もちろん僕も憧れます。

しかし、プラットフォームにおけるクリエイターは裸一貫で勝負することは根本的に求められていません。むしろそこにいるからこそ提供される強力なバックアップを使わない手はないと個人的に思っています。

入社してすぐに、広告代理店とは異なり、自分がたくさんの事例やデータにアクセスできる環境にあることに気づきました。どんな動画がよく観られているのか。広告ではどのような構成がいちばんエンゲージメント(イイねやコメントなどです)がつくのか。

もちろん代理店の中にいても、人力でコツコツ調べればできるかもしれません。しかし中にいるからこそ、素早く大量の結果にアクセスできる。だからこそ、それらを分析することで、どのようなキャンペーンが成功の勝ちパターンなのかを見極めることができ、すぐにそれを試せるのだと思います。

人によっては、こういう「約束された勝利の剣」をクリエイターが振りかざすのは格好悪いと思うかもしれませんね。他にも「そんな勝ちパターンに縛られたくない!」と思う方もいるかなと思います。どちらの意見にも非常に共感できます。新しいことをしないで何がクリエイティブなのかと。

ただし、僕の場合は闇雲に勘と経験だけで新しいことに挑戦して高い確率で成功をし続ける自信はありませんでした。成功する確率が上がるなら、使えるものはなんでも使う。そういうバックアップ体制のある環境は、僕にとって大きなメリットの1つです。

包丁一本だけじゃなく、フライパンもフードプロセッサーもオーブンだって。あらゆるツールを総動員して美味しい料理をつくる。そういうスタイルも、十分かっこいいんじゃないかと今の僕は思っています。

  1. ジェットコースターのように飽きない毎日が過ごせる

入社して2年と半年あまりですが、プラットフォームでは、ユーザーのトレンドがめまぐるしく変わります。入社した頃はダンス動画であふれていたのに、あっという間にコントやあるあるネタなどのコメディ系、Vlogスタイルで毎日の生活をレポートする日常系、何かのHowToを教えるTips系、そして購入品を紹介するレビュー系と、次々に新しいタイプの動画が生み出され、常にキャッチアップしないといけません。

そして、これが自分の性格にばっちりはまりました。

というのは、僕が広告の仕事を志した原点は、何をやっても飽きっぽい自分の性格を知っていたからです。食品会社も、自動車会社も、通信会社もきっと10年もいたら飽きてしまうだろうと。だったら、様々なクライアントさんと仕事をできる広告に絞ろうと決意したのが大学4年のときでした。

しかし、それよりも遙かに飽きが来ない環境に現在身をおいています。逆に言うと、のんびりまったりしているとユーザーたちに置いておかれるリスクがある。このあたりは、「1.勉強することが盛りだくさん」と同じです。覚えることが多くて飽きないととらえるか、ついて行くのが大変ととらえるかで、ある人にとってのメリットが、別の人にとってのデメリットに大きく分かれるでしょう。

その4へ続く

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