リレーコラムについて

レトロニムへのレクイエム

石倉一誠

はじめまして。
2020年度TCC新人賞を頂きました石倉です。

ついに来ました、リレーコラム。
バトンをつないでくださった高橋尚睦さん、ありがとうございます!
高橋さんの駅伝の作品、とっってもエモーショナルで素敵だなと思っていました。
高橋さんのリレーコラムも、作品と同じく、あったかくて、可愛くて、人柄が出てるなあ〜なんて思いながら読ませていただきました。
(コロナのせいでまだ直接お会いできてもいないのにすみません。)

さて、僕も新人賞を頂いたときに、「リレーコラムには絶対あの話書くぞ、ぐふふ・・・」なんて考えていたことがあったのですが、いざ書いてみると、コレじゃない。絶対コレじゃないと思ってしまい。

何を書けばよいのか完全にわからなくなってしまいました。

と、いうことで、
僕自身のエピソードトークやエッセイを綴ってもどうしても面白くなる自信がないので、
せっかくなら読んでくださった方が、明日誰かと話すときのタネになるような、
僕が面白い!と思った「言葉に関するモノゴト」を、わずかですが、この場を借りてご紹介させていただくことにしました。

前置きが長くなってしまってすみません。では…

 

「レトロニム」という言葉をご存知でしょうか。

日本語で言うと「再命名」なんて呼ぶらしいのですが、
僕はこの概念を知ったとき、とても興奮しました。

レトロニムとは、
「ある言葉の意味が時代とともに拡張された、あるいは変化した場合に、古い意味の範囲を特定的に表すために後から考案された言葉のことを指す」
とのこと(Wikipediaより。)

たとえば、

・フィルムカメラ
(カメラがフィルム式で発明されたのち、デジタルカメラが発明され、「カメラ」と呼び続けると混同するようになってしまったため、前者を”フィルム”カメラと命名し直すようになった)

・有線LAN
(「LAN」だったものが、無線LANが発明されたことで、”有線”LANと呼ばれるようになった)

・固定電話
(携帯電話が主流になり、区別するために”固定”がついた)

などが有名なレトロニムだそう。
なんだか、時代の移り変わりのダイナミックさを感じませんか?

僕は、普段からよく使っていた言葉に、なんだか歴史の交代劇が含まれていたようで、とてもロマンを感じてしまいました。
同時に、レトロニムになってしまった言葉からは得も言えぬ悔しさというか、無念さを感じます…。

「あ?今日から俺はフィルムカメラだ?ふざけんなよ、カメラつったらなあ、フィルムが常識なんだ。なんで俺が変えなきゃなんねんだ。デジタル?知らねえよあんな偽モン!」

「なんだよ、『有線LAN』って・・!線があったって良いだろ?なんかほら…強そうだろ?くそう。」

…なんて声が、ごついカメラから、LANケーブルから聞こえてきませんか?
いや、来ないか。すみません。

願わずもレトロニムになってしまったものたちに、レクイエムを。

初めてのリレーコラムで舞い上がったイタい子みたいになってしまいました。あいたたた…

 

話を戻すと、あえて現行のものをレトロニムっぽくすることで、発想法としても使えるようです。

・マスクを、「口マスク」とレトロニムにしてみる。
なんだか、その未来には「鼻マスク」とか「耳マスク」とかがあるような気がする。

・目薬を、「液体目薬」とレトロニムにしてみる。
え、塗る目薬とか、スプレー式とかあるの?なんて。

・スーパーロボットを、ロボ型スーパーロボットにしたら、
生きてるスーパーロボットがあってもいいじゃない、とか。

・お城を、不動城にしたら、
動く城があってもいいじゃない、とか。

なんだかワクワクしますよね。

レトロニムに興味を持たれた方は、こちらの記事やまとめを是非ご覧ください。
レトロニムと未来洞察
レトロニムに関するツイートまとめ

あー、僕もなんかレトロニム生み出したいなあ。

ネーミングというレベルではなく、何かを発明しないとですね…。
耳マスクや、スプレー目薬に可能性を感じた方がもしいらっしゃったら、お電話お待ちしております!

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