リレーコラムについて

ちょうどいいがすごい

古屋彰一

山の衣服の技術革新は凄まじく、

より軽く、より暖かく、より通気性が高い製品が、

毎年、次々と現れて、僕らの物欲を刺激し続けます。

その中にあって、

ここ数年、新製品から僕のファーストチョイスのポジションを奪われることなく

絶対的な地位を保ち続ける製品があります。

山と道のメリノフーディーという薄手のパーカー。

最新の製品に比べて軽くもなく、暖かくもなく、速乾性があるわけでも無い

ウールでできたふつうのパーカーです。

だけどちょうどいいのです。

けっこう重いけど、その重さが体に馴染む。

暖すぎることもなく、寒すぎることもない。

特徴のある形ではないけど、

どんな服に合わせてもそれなりにまとまる。

浮気心が出て最新の繊維を使った商品を買うことがあったけど

いつの間にか、これに戻っている。

 

メーカーの気持ちに立ってみると

競合各社が先を争って最新鋭の機能を歌う商品を出しているのに、

明確なストロングポイントを打ち出せない「ちょうどいい商品」を出すって、

本当に勇気のいることだと思います。

 

たぶん、作っている人が

売れるとか売れないという価値基準じゃなくて

自分が使いたいものを作るというスタンスだからこそ

そういう決断ができたのだと思います。

 

広告ほど「ちょうどいい」となじまない世界はないかもしれない。

だけど、僕は最近、このメリノフーディーのような

「ちょうどいい」を応援する仕事をしてみたいなと強く思っています。

 

 

と、

趣味に走りすぎたコラムを

無理やり広告につなげて終わりにします。

1週間ありがとうございました。

 

次のバトンは、今年、西鉄エージェンシーからBBDO J WESTに転職して

早くも大活躍の森下浩子さんにつなぎます。

立場的に一番断りにくそうなので頼んでみました。

よろしくお願いします。

 

 

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