リレーコラムについて

「PRコピー」の話❶ TCCはPRにも向いている

嶋野裕介

昨日、会社の後輩と話した時に

「リレーコラムにいいこと書くとなんか仕事きますよ」って聞きまして

「ほんとかなぁ」と思いながらまんまと書いてみようと思いました。

 

いいこと、っていうか私の勝手な分類なんですが、

最近仕事で期待されるコピーの役割として、

「広告コピー」と「PRコピー」っていう2種類がある気がしています。

 

簡単に分類すると、

CMの最後や新聞広告で輝き・人の心を動かすキラキラ系が広告コピーで、

SNSの荒波をピンボールのように跳ね続け広がり続けるのがPRコピー。

 

いろんなチームで仕事するとき、

後者(PRコピー)が欲しい時に、前者(広告コピー)ばかり出されて困ることもあります。

逆に新人や、マーケティング系の職種の後輩が、さらっとPRコピー出してきて、すごいなって思ったりします。

 

以下に、個人的に考える

「広告コピー」と「PRコピー」の違いを書いてかいてみます。

 

❶ ゴールの言葉か、スタートの言葉か。

 

広告コピーは「ゴール」だと思います。

映像や企画があって、要するに最後に商品の魅力を言葉で言い表す。

もちろんキャッチコピーとタグラインコピーは厳密にいうと違うけれど

その目的は商品の魅力を引き出すことであるのは同じ。

 

それに対して、PRコピーは「スタート」であることが多いです。

その言葉があることで、メディアやSNSや世の中がそれについて考え、

意見をのべ、結果的に広告以上に広がっていくことがある。

 

例えば高崎市のシティプロモーションの「絶メシリスト」。

市内にある「美味しいけど跡継ぎ不足などで廃業するかもしれない飲食店」を

紹介するこの企画は、ドラマ化や書籍化もされ、海外賞も受賞しています。

この企画のもっとも素晴らしいのはこのタイトルでありPRコピーの

「絶メシリスト」。

言葉としての新しさ、企画の枠組みも伝わるし、社会性があることで、

この言葉だけで企画が自走できる(=スタートしていく)強さがある。

 

ただこれって、最近急にでてきたわけではなく、

昔の広告でも「モルツ球団」とかは、いまSNSで発信されてたとしても

めちゃくちゃ機能しそうです。

 

(絶メシリストには社会課題が、モルツ球団にはコアファンの熱意がこめられているので、

自走しやすいのだと思います)

 

 

仲畑さんが「僕の広告表現作法」というコラムの中で

「コピーは(映像やビジュアルよりも)効率がいい」とおっしゃられていました。

 

いまの時代、SNSやメディアでも勝手に広がっていくPRコピーは

新しい意味での効率の良さもあるのかなと思います。

そして、そのコピーは決して難しいものではなく、これまでのTCCが築きあげてきた

言葉の技能や歴史を活かしてつくれるものだと思います。

 

(つづく。)

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