リレーコラムについて

炎上覚悟。

松井一紘

アイデアよりも、炎上に悩まされる。

 

正直な話、これが最近の広告制作者の悩み

なんじゃないでしょうか。

 

ここで書くのもどうかなと思ったんですが、

先日公開されたナイキのCMに、世間では賛否両論の声が
上がっているようですね。

僕は普段うま〜く難を逃れたい性格なので、
こういうことには勝手に耳に栓をしちゃうタイプなのですが、
実は大学時代に、人種差別について研究するゼミに所属していたので、
思わず気になって動画を見ちゃいました。

何でこんなことで、炎上するんだよ!つまんねぇな!
とため息をつくんだろうなと思っていたんですが、
意外や意外、そんな風にも思えない読後感でした。

いや、こんなんで炎上するなよ、とも思ったんですが、
炎上しちゃう人の気持ちも不思議と分かっちゃったというか、
スッキリしないポイントがあったんです。

このナイキのアプローチは、2年前のアメリカのNFL選手
コリン・キャパニック選手を起用したときのことを思い出させますが、
(ちなみに当時のナイキの株価は大暴落した後に、株価が過去最高になったらしい)
似ているようで、だいぶ違うような気がするんですね。

 

このCMは個人のリアルストーリーに基づいて作成されたらしいんですが、

アウトプットでは、あくまでも人物は抽象化されています。

方や、アメリカの広告は、実在の人物にかなりフォーカスされています。

 

すごく微妙な違いに見えて、ここが読後感の大きな差を

生んだんじゃないかなと思っています。

なぜかというと、ナイキさんは決してこういうことは
考えなかったと思うんですけれど、

「差別されている人たちと共に歩んでいく姿勢」を
描くことで何となくいい企業に見えてしまう術、
を使ってしまったんじゃないかと。

いや、天下のナイキさんですから、多分そんなことは
絶対ありませんので、ご安心を。

 

でも、一応「人種差別ゼミ」という場所で学んでいた者
としては、どうしてもそう見えてしまったのでした。

最近ダイバーシティ、LGBTに対してのメッセージや
アクションを様々な企業が積極的に取り組んでいると思います。

 

それ自体は決して悪くないし、いいことだと思うけれど、
ほんとのところ、どれだけ本気でそのことを考えている人が
いるのだろうか。

そういった世の中の “トピック”だから、それに乗っかると
きっといいコトをしている企業に見えるはずだ・・・!

そんなこと考えてたら、ほんと怒る。許さん。燃える。

実は僕も日本人の母と日本人の父の間に生まれたのですが、
なぜか目の色が違ったりして、幼い頃から「国に帰れ!」だの、
「ガイジン!」だの、「ニューハーフ!?」(もう色々違うだろ!)
と差別されてきました。

なので、このナイキのCM、悪くはないんですが、
この主人公の「匿名性」によって、そういった
読後感のもどかしさやムズムズ感が生まれてしまったん
じゃないかなと思っています。

リアルなのに、リアルに見えない、というパラドクス。

いやぁ、けれど何もしないで、
世の中が変わるわけでもないのでほんとに難しい。

どうしたら人種差別とかがなくなるのか、人類の永遠の課題ですが、
僕よりもうんと若い世代がK-POPがスタンダードだったりするのを見てると、
こういう自然に自然なものを愛すのが、結局いちばんの近道なんじゃないかな
と思ったりするのです。

やっぱ世の中でいっちゃん嫌いなものは
人種差別だなぁ。

 

 

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