リレーコラムについて

リルとロル

高田豊造

おとぎ話をテーマにしてきた一週間。

最後の今日は、

自分でおとぎ話を作ってみようかと思います。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リルとロル

 

リルとロルには、たくさんの友達がいました。

毎日仲良くいっしょに遊んでいました。

でも、一つだけ悔しいことがありました。

 

友達たちは行くことができるのに、リルとロルだけは入って行けない場所があったのです。

ある分厚い本の中。

リルとロルがその本の中にこっそり入ろうとすると、門番に止めれます。

ダメだダメだ! リルも、ロルも、この本の中には入れない!

「いつかは僕らもこの中に入れるようになるの?」と聞いても、門番は

「それは俺たちが答えられることではない!」と冷たく言い返されるだけでした。

 

しょんぼり。

 

リルとロルは中に入ることのできる友達に、本の中の様子を聞いてみました。

 

ケルはこういます。

「あの本の中には、会ったこともない奴がうようよいるんだ

見たこともない長いやつや、外国から来たやつもいたぜ」

 

ネルはこう言います。

「でもよ、そいつがどういうやつか一発でわかるんだ

知らない奴でも、すぐわかる不思議な世界だ」

 

リルとロルは悲しくなりました。

なぜ僕たちは、あのでっかい本の中には入れないんだろう。

涙が出て来ました。

 

そこで、二人は、長老のヲルとンルに相談に行きました。

 

ヲルは、リルとロルを優しく見つめながら、慰めるようにこう言いました。

あの本はな、人間に見つかっちゃった者が、

その名前を書き込まれる「辞書」という本さ。

あの本に入ると人間のために働かきゃいかんのだ。

人間は「ル族」が大好きでな、なんでも「ル」をつけて言葉にするんじゃ。

ある、いる、うる、える、おる、かる、きる、くる・・・・・

だから、アルも、イルも、ウルも、みんな人間のために働いておる。

 

ところがじゃ、リルとロル、そしてわれわれヲルとンルだけが、

まだ人間に見つかっていない。

いつか見つかりあの本に名前を書き込まれるまでは、自由の身じゃ。

人間にこき使われることもない。

嬉しいことに思わんか?

 

「さる、しる、する、せる、そる、なる、にる、ねる・・・・・

みんな人間に見つかっちゃったの?」

 

そうじゃよ、と、ンルがゆっくりとうなずきます。

 

 

リルとロルはちょっとうれしくなりました。

自分たちはまだ見つかっていない、特別な存在なのか。。。。。

 

でも、、、、

人間にちょっと見つかってみたいような気もします。。。。

人間のために働くって、どんな気分なんだろう。。。。

 

リルとロルは、

見つかりたいような、見つかりたくないような、

不思議な気持ちで、

今日も言葉の森で暮らしているのでした。

 

 

 

おしまい。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

一週間、おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

バトンは斉藤直之さんに渡します。

今は現場というよりは、

若者たちのクリエイティビティ能力開発に取り組む、

つまり未来を作っている方です。

 

きっとふわふわしたおとぎ話とは違った、

もうちょっと「役に立つお話」を紡いでくださる気がします。

よろしくお願いします。

ありがとうございました。

 

 

  • 年  月から   年  月まで