リレーコラムについて

おとぎ話

高田豊造

小池さんからバトンをいただきました。

博報堂の高田豊造(こうだとよなり)です。

 

いつものようにいつものごとく、コピーを書いたり、

コンテを描いたり、あーでもないこーでもないと、

未だにキャハキャハ、楽しい仲間たちと打ち合わせを重ね、

悪口言ったり、くだらない話をし続けたり、笑ったり笑ったりしながら、

知らぬ間に時は流れて。もう30年近くにもなるようです^^;;

 

先日打ち合わせでこんな話をしました。

僕が入社した頃には、会社の中に「文字を売る人」がいたんだ。

コンプライアンスなんて言葉が叫ばれる前だったから、

その人は自由に制作局のフロアに入ってきて、いつもウロウロしてて。

文字が必要になったときは、こちらから声をかける。

すると、その人は文字の見本帳を開いて、どんな文字が欲しいですか、と。

「こんな書体、こんな大きさ、こんな仕上げで」と、お願いすると、

夕方ごろに、またその人が文字を持ってやってきてくれたんだ。。。。。

 

若者に、といっても結構若くない人も、この話を信じてはくれません。

「またまた、こうださん、、、文字を売る人って、そんな人、いるわけないでしょう」と。

「いやいや、いたんだってば!デジタル化される前は、会社に!」と、言っても

「またまたぁ~」となかなか信じてはもらえません。

 

その時代をご存知の方は、お気づきでしょうが、「文字を売る人」とは写植屋さんのことです。

プレゼンまでにコンテボードや企画書に貼る、キャッチフレーズなどを

その人に、書体と大きさを指定して発注すると、

ピカピカの光沢紙にその文字を出力して持ってきてくれるのです。

こすれば転写されるクロマキーにしてもらうことも可能でした。

 

コンプライアンス、デジタル化の以前、パソコン、プリンターが普及する前の時代、

確かの「文字を売る人」は会社の中にウロウロしていて、

その人が夕方までに「文字」を届けてくれたのです。

いま思えば、結構不思議な話に思えてきますが。。。。

 

そこでふと、、、、「おとぎ話」ってもしかすると、

こんなところから生まれてくるのかもしれない、とそんなことを思った次第です。

 

半分本当、半分夢のよう。

 

そんな話で、バトンを繋いで行こうかな。。。。と今は思っています。。。。。

 

一週間、よろしくお願いします。

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